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ドイツにおける旧国境地域の地域構造の変化

研究課題

研究課題/領域番号 04041053
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関岐阜大学

研究代表者

小林 浩二  岐阜大学, 教育学部, 教授 (30111793)

研究分担者 WOLLKOPF Mei  ライプツィヒ地誌研究所, 講師
MAIER Jorg  バイロイト大学, 地理学教室, 教授
MEUSBURGER P  ハイデルベルク大学, 地理学教室, 教授
山本 充  埼玉大学, 教養学部, 助教授 (60230588)
加賀美 雅弘  東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60185709)
佐々木 博  筑波大学, 地球科学系, 教授 (70062817)
HILLENBRAND ハンス  ヴュルツブルク大学, 地理学教室, 講師
研究期間 (年度) 1992 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1994年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1993年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1992年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
キーワード旧東西ドイツ国境地域 / 地域構造 / 旧西ドイツ化 / 法人組織の農業経営体 / 交通政策 / 環境問題 / 民営化 / 地域格差 / メックレンブルク・ファアポメルン州 / 農業構造の変化 / 旧西ドイツへの人口移動 / ゾンネベルク / ベルリン / チューリンゲン州 / フォークトランド / 地域計画 / 旧国境地域 / インフラストラクチャーの整備 / 市場経済化 / 失業率 / 信託公社 / 農業生産組織(LPG)の解体・再編 / メクレンブルク・フォアボメルン州
研究概要

本研究では、旧東西ドイツ国境地域の地域構造の変化を明らかにすることを試みた。その際、この地域の特色を浮き彫りにするため、旧東ドイツの地域構造の特色も併せて把握した。また、ドイツに近接するチェコ、ハンガリーについても若干の考察を試みた。これは、ドイツ統合を契機にこれらの近隣諸国の地域構造も大きく変化しているからである。
ドイツ統合以前、旧ドイツ国境地域は旧東西ドイツそれぞれのなかで「後進地域」となっていた。政治が否定的に作用した場合、国境の存在が地域の活力を大きく低下させていたことを如実に物語るものだった。
ドイツの統合は、とりわけ旧東ドイツならびに旧東ドイツの国境地域を根本的に変えることになった。ドイツの統合によって、旧東ドイツは計画経済から市場経済に移行した。こうした変化から明らかなように、旧東ドイツの変化は、端的にいえば「旧西ドイツ化」といえるだろう。しかしながら、「旧西ドイツ化」とは、旧西ドイツと同じになってしまうことを意味するのではない。旧東ドイツの変化の特色として、特につぎの2点があげられるだろう。第1は、旧東ドイツの特色を踏まえた変化が生起していることである。たとえば、こうした変化は農業に典型的にあらわれている。旧東ドイツでは、法人組織の農業経営体が重要な役割をはたしているが、これは、共同経営ならびに経営規模が大きいという旧東ドイツ時代の農業の特色を反映したものとなっている。
第2は、旧東西ドイツに生起していた問題の反省にたって地域の復興・発展政策が実施されていることである。たとえば、公共交通を重視した交通政策や自然環境を保護するための環境政策が強力に推し進められていることなどである。こした背景には、旧西ドイツや旧東ドイツで自動車の増加に伴う都市構造の破壊や大気、地下水の汚染などの環境問題がきわめて深刻化していたという事情があったからにほかならない。
こうしたなかで、旧西ドイツとの旧国境地域はとりわけ大きな変化をとげることになった。これは、この地域が従来の緑辺地域から一転ドイツの中心地域に位置することになったからである。また、この地域が旧西ドイツの影響を最も強く受けるようになったからでもある。統合後のこの地域の変化の特色として、つぎのような点があげられるだろう。1)旧西ドイツ市場へ通勤している人がより多い。2)旧西ドイツ(EU諸国)の企業の進出-たとえば旧西ドイツの農家など-がより顕著である。3)耕地の需要が高く、地価が高い。4)都市化の進展がより顕著となっている。5)自然保護区に指定されている面積が大きい。これは、この地域に自然が豊富に残っていたためである。
ただし、旧東ドイツの急激な復興・発展が進むなかで、既述したこの地域の特質は薄れていることを指摘しておかなければならない。それだけ、旧東ドイツの復興・発展が急激に進んでいるのである。
ドイツの統合を契機にして、ドイツと近隣諸国、とりわけ、チェコ、ハンガリー、ポーランドなどのいわゆる中央ヨーロッパ諸国との関係は緊密化した。それだけ、これらの国に対するドイツの影響力が高まってきたのである。これらドイツ近隣諸国の注目すべき変化は、つぎのようにまとめることができるだろう。1)ドイツ統合を契機に民営化が急激に進展している。2)地域格差は縮小しておらず、むしろ拡大している。3)ドイツとの国境地域ではドイツの影響を受けて地域の再生が急速に進んでいる。
残された課題として、つぎの2点をあげることができる。一つは、ドイツの統合化の過程をさらに多面的に追求していかなければならないこと、もう一つは、ポーランド、チェコ、ハンガリーなどのドイツの近隣諸国を含めた広域的な地域構造の変化をさらに詳細に把握する必要があることである。

報告書

(3件)
  • 1994 研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 1992 実績報告書
  • 研究成果

    (30件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (30件)

  • [文献書誌] 小林浩二: "旧東ドイツにおける農業構造の変化-旧西ドイツとの国境地域を中心に-" 岐阜大学教育学部研究報告(人文科学). 43,1号. 19-37 (1994)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小林浩二: "旧東ドイツの地域計画" 岐阜大学教育学部研究報告(人文科学). 43,2号(印刷中). (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 佐々木博: "旧東ドイツVogtlandの楽器工業の変遷" 筑波大学地球科学系人文地理学研究. XIV(印刷中). (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 加賀美雅弘: "国境開放にともなう旧西ドイツ国境地域の変容-チェコとの国境地域についての研究事例にみる-" 東京学芸大学紀要第3部門. 45. 55-65 (1994)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 加賀美雅弘: "ドイツ統合にともなう東西ドイツ間の人口移動-とくに旧東ドイツからの通勤者の事例-" 新地理(日本地理教育学会). 42(印刷中). (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 加賀美雅弘: "旧西ドイツ地域へのドイツ系帰還住民の流入とその空間的特性-ドイツ統合とのかかわりにおいて-" 東京学芸大学紀要第3部門. 46. (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山本充: "ドイツチューリンゲン州南西部農村の就業構造の変化" 地学雑誌. (予定).

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山本充: "旧東西国境を挟む2つの都市-ホ-フとプラオエン-の中心商業地の比較研究" 経済地理学年報. (予定).

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 佐々木博: "EUの地理学" 二宮書店, (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kobayashi, Koji: "Changes in Agricultural Structures of the Former East Germany" Annual Report of the Faculty of Education, Gifu-Univ. (Humanities and Social Sciences). 43 No.1. 19-37 (1994)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kobayashi, Koji: "Changes in Agricultural Strucktures of the Former East Germany-Especially in the Border Region ofthe Former West-and East Germany (printing)" Annual Report of the Faculty of Education, Gifu-Univ. (Humanities and Social Sciences). 43 No.2. (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sasaki, Hiroshi: "Changes of Musical Instruments Industry in Vogtland in the Former East Germany" Tsukuba Human Studies in Human Geography (printing). 19. (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kagami, Masahiro: "Regional change of the Old "Zonenrandgebiet" after Opning of the Border, with an Example of Work on the Boderland" Bulletin of Tokyo Gakugei Univ.Sec.3. 45. 55-65 (1994)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kagami, Masahiro: "Labor Migration from the Former East- to West Germany after the Unification, a Case of Commuter" The New Geography. 42 (accepted). (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kagami, Masahiro: "Regional Contexts of the "Spataussiedler" in the Former West Germany, with attention to the reunification" 46 (printing). (1995)

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yamamoto, Mitsuru: "Changes in Multiple Job Farming in the South-western Parts of Thuringen in Germany (under Contribution)" Jounal of Geography.

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yamamoto, Mitsuru: "comparative Study on the Inner City of Hof and Plauen in the Both Side of the Former East-West German Border (under Contribution)" Annals of the Japan Association of Economic Geogaphers.

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      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sasaki Hiroshi: Geography of EU. Ninomiya-Shoten, (1995)

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    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小林 浩二: "旧東ドイツにおける農業構造の変化" 岐阜大学教育学部研究報告(人文科学). 42. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 佐々木 博: "ゾンネベルクの玩具工業" 人文地理学研究. XVIII. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 佐々木 博: "統合ベルリンの地域構造と工業化政策" 筑波大学地域研究. 12. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 加賀美 雅弘: "国境開放による旧西ドイツ国境地域の変容-チェコとの国境地域についての研究事例にみる-" 東京学芸大学紀要第3部社会科学. 45集. 55-65 (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 山本 充: "旧東ドイツにおけるECの農業政策の適用とその影響" 地域研究. 34. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 山本 充: "旧東ドイツ・チューリンゲン地方の農業の変容" 埼玉大学教養学部紀要. 30. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 小林 浩二: "ドイツ人の余暇活動" 歴史と地理. 455. 5-12 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 小林 浩二: "統合ドイツの光と影" 二宮書店, 212 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 小林 浩二: "旧東ドイツにおける農業構造の変化と課題" 日本地理学会予稿集. 43. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 佐々木 博: "ドイツ統一にともなう旧東ドイツの行政区画および大学研究機関の再編成" 筑波大学人文地理学研究. XVII. 1-24 (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 加賀美 雅弘: "旧東京ドイツ国境地域における人口構造とその変化" 東京学芸大学紀要. 45. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 山本 充: "旧東西ドイツ国境地域における農業・地域政策の適用とその影響" 埼玉大学教養学部紀要. 28. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書

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公開日: 1992-04-01   更新日: 2016-04-21  

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