研究課題/領域番号 |
07J01550
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小山 吉亮 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ファシズム / 独裁 / 全体主義 / クライエンテリズム / サブリーダー / 現代史 / イタリア |
研究概要 |
ファシズム期イタリアのサブリーダーは政策決定の場(「頂上政治」)の構成員であるとともに、地域の支配者として政治と地域社会を媒介する存在でもあった。1920年代前半に成立した彼らの地域支配(ラス支配)は、(1)実力の行使、(2)地域経済の統制、(3)政府機関の黙認・協力によって支えられていた。ムッソリーニ政権の成立後、このような地域支配は政府機関を掌握したムッソリーニに従属することになったが、当初は中央と地方サブリーダーとの「共棲」が試みられ、ラス支配は容認されていた。しかし、20年代後半に中央の自律性が高まると暴力行為・ストライキなどの実力行使が禁止されるようになり、経済情勢も悪化するなかでラス支配の基盤は掘り崩されていった。このような状況の下で多くのサブリーダーが中央に活動の場を移すことになったが、彼らは暴力の組織化以外の技能・経験が乏しかったために青年・教育・スポーツの分野に活躍の場を求めざるをえず、これらの分野の主導権をめぐって互いに争うことになった。他方、サブリーダーの「頂上政治」への参入は青年問題をめぐるカトリック陣営との対立を激化させ、教会との「和解」に立脚していたムッソリーニの統治は危機に陥った。そこでムッソリーニは統治原理の転換に着手し、スタラーチェを党書記に起用して党を統治の基盤として積極的に活用することを試みた。スタラーチェは全国各地の組織網を党中央主導で再編して他のサブリーダーの影響力を削ぐとともに、彼らの追い落としにも力を注ぎ、有力サブリーダーの政策形成過程からの退場を加速させた。その結果、サブリーダーは地域社会・「頂上政治」のいずれにおいても地歩を失うことになった。さらに、有力サブリーダーの退場はムッソリーニへの権力集中やムッソリーニ「個人崇拝」の昂進をも引き起こした。こうして、30年代前半に統治構造の全般的転換が生じることになったのである。
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