配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
平成9〜11年度に,すべりを伴う材料の腐食,腐食摩耗,について検討した.これはすべりにより表面が常に新生面を露出するために「動的腐食」と呼ばれるもので,通常の静的腐食挙動とは区別される. 腐食摩耗は機械的に摩耗する機械的作用と金属の溶出という電気化学的作用から成り立ち,電気化学的研究は後者の寄与率を評価する上で好都合である.しかし,電気化学的作用は「新生面の露出面積」と「新生面の腐食電流密度」の積で与えられ,両者とも未知数である.そこで,新生面の腐食電流密度を電位急変法(PP法)で求めた分極曲線の値を用いることにし,その妥当性を検討した. 実験はSUS304鋼,純鉄,純銅,6/4黄銅,純アルミ,Zr合金などを用い,主として往復摩耗試験機で行った.その他に,回転すべりとスクラッチ試験やフレッティング摩耗試験を行った.腐食溶液はNa_2SO_4(pH7)を用いた. PP法による評価はSUS304鋼にはよく適合することを得た.この場合新生面の大きさは摩耗痕の面積でよい.しかし,純アルミやZr合金では機械的作用が比較的大きく,電気化学的作用は相対的に小さくなることを得た.機械的摩耗の大きさはPP法で十分カソード域での摩耗である.しかし,これらの金属では摩擦開始とともに,腐食電位が急激に低下することが得られ,表面の不動態被膜の破壊とその回復での電位の平衡に落着く. 新生面の露出面積,すなわちアノード面積の評価も摩耗痕の投影面積,摩耗痕粗さを考慮した面積,Hertzの接触面積などで評価した.この面積の評価の精度をさらに上げることが可能となれば,腐食電流密度の評価も上がる.しかし,本研究での摩擦条件における新生面の腐食速度はPP法でほぼ評価できることを得た.
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