研究概要 |
1)平成9-10年度において高脂肪/低糖質食によってヒトとラットの耐糖能が高度に低下することを見い出した。ラットでは耐糖能が低下するのに3日間の高脂肪/低糖質食飼育が必要であったが、ヒトでは一食(経口糖負荷試験の前日の夕食)の高脂肪/低糖質食で耐糖能が低下した(Kaneko T,Wang P-Y,Tawata M,Sato A.Lancet 352:289,1998;Wang P-Y,Kaneko T,Wang Y,Tawata M,Sato A.Tohoku J Exp Med 189:49-70,1999)。 2)高脂肪/低糖質食による耐糖能の低下が脂肪摂取量の増加によるものなのか、糖質摂取量の減少によるものなのかを判別するために、ヒトおよびラットを一晩絶食にして耐糖能を測定した。一晩の絶食によって、ヒトにおいてもラットにおいても、耐糖能が高度に低下した。したがって、高脂肪/低糖質食によって耐糖能がするのは増加する栄養素(脂肪)ではなく、減少する栄養素(糖質)が原因であることが判明した(Wang Y,Kaneko T,Wang P-Y,Sato.2000<in press>;Wang Y,Kaneko T,Wang PY,Sato A.<投稿中>)。 3)低糖質食による耐糖能の低下が、膵ランゲルハンス島のB細胞のインスリン分泌能の低下によるものなのか体組織のインスリン感受性の低下によるものなのかを判別するために、それぞれperifusion systemとinsulin tolerance testによって評価した。その結果、低糖質食による耐糖能の低下は主としてインスリン分泌能の低下によって起こることが判明した(Wang Y,Kaneko T,Wang P-Y,Sato A.<投稿準備中>)。 4)7名の軽症糖尿病患者に高糖質食(糖質80%)と通常食(糖質60%)をそれぞれ1週間与え、血糖の推移を観察した。現在、高糖質食によって血糖管理が改善するという結果が得られている(研究継続中)。
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