研究課題/領域番号 |
12610139
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
|
研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉夫 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20073033)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 超高齢化山村 / 家族・地域変動 / 地域福祉システム / 縦断的調査研究 / 地域福祉 |
研究概要 |
地域福祉の基礎構造を家族と集落・地域の変動の視点から研究を行った結果の概要は以下のとおりである。 第一は、とりわけ90年以降急速に進んだ過疎・超高齢化に伴う住民の個別生活基盤とりわけ家族機能の脆弱化ということである。その一つは、家族生活の不安定化の方向である。この12年間の奇跡を追った「家族変動に関する調査」結果によると、79世帯中流出人口は112人(一世帯平均1.4人)、出生数10人、死亡32人、社会増を示す転入は12人に過ぎない。その中で家族はライフステージの上昇と共に、夫婦世帯に収斂し小世帯してきている。他方、他出した子供とは精神的な援助関係が主で、経済的、労働的な援助関係は期待できず拡大修正家族の機能は弱化の途を辿っている。二つ目は、金山町のような中山間地域でも家族関係や家族規範が大きく揺らいでいるということである。厳しい生活状況にも拘らず、生活や家族関係の「見通し」を楽観視する割合も硬いが、生活の「個人化」や家族規範のルーズ化を肯定する人も4〜5割に達している。家族形態と規範の両面から山村型福祉の土台が揺らいでいる。 第二は、集落機能の全般的低下とその中での集落間格差の拡がりである。ここ30年間の集落の過疎・高齢化と小規模化の速度と程度は、集落規模、営農規模、交通の利便性の3つに規定されていることがわかった。それらの条件の不利な集落ほど、家族の変動も大きく、小規模化と高齢者のみの世帯化が進み、集落機能が極度に低下し、中には「限界集落」も出現するにいたっている。 地域福祉を基底する農村に特有な家族と地域のシステムは、金山町のような過疎・超高齢化山村ではその機能が危ぶまれるまでに至っている。人々が住み続けられる家族と地域再生の総合的な取り組みが今こそ求めらている。
|