研究課題
基盤研究(C)
源氏物語は先行のさまざまな作品や典籍、史実を引用して織り成された作品である。中世の源氏物語の注釈書は、源氏物語が和歌や物語の引用だけでなく、漢籍や仏典、史実にいたるまで典拠や準拠をもつ表現から成り立っていることについて精細に指摘した。それは源氏物語の大きな特色であり、源氏物語を読むことはそうした表現の仕組みを確認しつつ解釈することが求められたのである。本研究では次の点を明らかにした。1 源氏物語のほぼ全体にわたって、河海抄、花鳥余情、細流抄、岷江入楚という中世の代表的な注釈書が指摘する準拠、典拠の調査を行った。源氏物語は漢籍や仏典に典拠を持ち、史実や歴史的伝承に準拠して構成されている。それは深く歴史を問い、典拠とした作品や準拠した歴史との対話や対決を通して、独自の物語世界を構築する方法であると理解すべきである。2 河海抄、花鳥余情、細流抄、岷江入楚が指摘した典拠や準拠の世界は源氏物語とその時代の知的文化的水準の総体を示すものとして理解すべきである。3 鎌倉、室町時代に源氏物語の典拠や準拠の研究が発展したのは、当時の公家が源氏物語に先祖の栄光の歴史を確認しようとした意図があった。順徳天皇、後醍醐天皇の源氏物語への関心は源氏物語に王権の理想を認めたのである。この点については「『河海抄』と源氏物語」(『文学』2003年7・8月号)に論じた。
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