研究分担者 |
能見 義久 (能見 善久) 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (50009841)
大村 敦志 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (30152250)
森田 修 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40202361)
森田 宏樹 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (70174430)
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研究概要 |
4か年度の研究を通じて,200年記念を迎えたフランス民法典を,200年前に作られた歴史的な一つの作品として客観的に対象化し,その成立の背景,作品全体の構造分析,ならびに,各分野のこの200年間の推移の総合的考察,更には,これを「継受」した日本法との関係での比較法的な考察を行った。フランス側協力者との関係では,2004年3月のパリでの200年記念行事およびその他のいくつかの関連行事や国際会議の機会に,内容的な議論および研究上の打ち合わせを行った。 民法典成立の背景に関しては,大革命固有の脈絡もさることながら,その前史として,15世紀半ば以降の慣習法の成文化の結果として,諸地方の慣習法の比較研究の中から,フランス固有の共通慣習法の意識化.および,そこからローマ法との関係での独自の「フランス法」の記述・体系化と統一法典形成の試みとが,ローマ法の「法学提要」に倣う形でなされたプロセスを興味深く辿ることができた。 法典成立以後の推移に関しては,民法典中の人事・家族法部分においては,20世紀後半の大改革および最近の再改革を通じて大々的に現代化が行われたのに対して,財産法・債権法の分野では,民法典の内容は原始規定からあまり変化のないまま,判例法および特別法による進化が著しいという好対照が見られた。しかるに,まさに200年期年を契機として,ヨーロッパ法統一との関係で再度のフランス法の意識化と再改革との機運が高まり,次々に実現していることは更に興味深い。 研究成果の発表に関しては,上記分担者および他の協力者の参加により,2004年6月に比較法学会・日仏法学会合同のミニ・シンポジウムを行った後,2006年10月に,懸案の単行書『フランス民法典の200年』を刊行することができた。
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