研究概要 |
(1)多変量解析におけるCookの局所影響の導出:これまでCookの局所影響が導出されていなかった、関心のあるパラメータが尤度関数でなく制約式に含まれる場合に相当する、正準相関分析についてCookの局所影響を導き、その結果が、以前から我々の提唱している"影響関数に基づく影響診断の一般的手順"のなかの複数観測値診断で利用する"V^-(ただし、Vはパラメータ推定量の(漸近)共分散行列)をメトリックとするPCA"から得られる結果と同じであることを示した(Tanaka et al.,Comm.Statist.,A,2002)。 (2)我々の一般的手順のなかの影響関数のPCAとCookの局所影響の関係について、一般的な統計モデルの場合の(1999論文に対する)補足を岡山大学環境理工学部研究報告(Zhang and Tanaka,2002)で、また、例として主成分分析の場合を取り上げた議論をTanaka et al.,Comp.Statist.Data Anal.,2003で行った。我々の方法は、幾何学的な観点から導入されたCookの局所影響に統計的解釈を与え、また、最尤法以外の場合やロバスト法への拡張が容易であるという利点をもつ。 (3)関数データ解析における感度分析:関数主成分分析について、基底関数展開により有限次元に落として多変量解析における診断統計量に帰着させる方法を提案し(Yamanishi and Tanaka, to appear in Computational Statistics)、その数理的な部分について、「計算機統計学」(Tanaka, to appear)において詳しく議論した。また関数回帰分析については、空間統計学への適用を目指して地理的重みつき関数回帰分析の方法を提案した(Yamanishi and Tanaka, J.Jpn.Soc.Comp.Statist.,2003)。 (4)生存データ解析における感度分析:Cox回帰における感度分析について影響関数に基づく複数観測値診断の方法を提案し、統計関連学会連合大会(03年9月)、Science of Modelingに関する国際会議(横浜、03年12月)で発表、それと関連したfull paperは査読つき国際会議録に掲載される予定(Sung and Tanaka, COMPSTAT2004)。また、提案した方法について数値的検討を行った結果を環境理工学部研究報告(Sung and Tanaka,2004)に報告した。 (5)その他:潜在クラス分析における感度分析法を提案(Morita and Tanaka, J.Jpn.Soc.Comp.Statist.,2003)し、また、独立成分分析における感度分析について国際統計協会大会(ベルリン、03年8月)で発表した。
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