配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
全国の1,400頭以上の飼育猫を対象にBartonella属菌の感染状況を詳細に調査した結果,わが国の猫の感染率は細菌学的に7.2%,血清学的に8.8%であることを明らかにし,飼育猫は潜在的にCSDの重要な病原巣となりうることを示した。また,猫の感染率は沖縄県などの南の地方や都市部で高いこと,ノミ寄生を受けた猫や外猫で高いこと,新種のB.clarridgciaeも分布していること,日本の猫のB.henselaeの16SrRNA遺伝子型はtype Iが主流であることなどの疫学特性を明らかにした。 わが国のCSDを疑う患者の約40%がB.henselaeの抗体を有していたこと,猫と接触したりノミに寄生された経験のある獣医学系学生は一般の人に比べ抗体陽性率が高いことを明らかにし,また,感染初期の患者の迅速診断には,血液のPCR法が有用であった。また,猫だけでなく,犬も本症の感染源となる可能性を示した。 CSD患者からのB.henselaeの分離報告例は世界的にも少ないが,本研究では患者から本菌の分離にわが国で初めて成功した。分離株のゲノム解析の結果,当該患者は複数の異なるゲノムを有するj.henselae株に感染しており,本菌の重複感染の可能性があったこと,分離株の16SrRNA遺伝子型はわが国の猫に主流のtype Iであったこと,本症例ではノミがベクターとして関与していたこと等の事実を明らかにした。 日本,アメリカ,フランスの猫は,多様なゲノムを有するB.henselaeを保菌しており,そのサイズは1.7-2.9Mbpであることやゲノムパターンは各国の猫で特徴があることを明らかにした。 B.henselaeに自然感染した猫では,一年以上の長期間にわたる回帰性の菌血症を示すこと,持続感染には本菌のゲノムの多様性が関与していることを明らかにした。さらに,ヌードマウス,BALB/cマウスの感染実験により,本菌の持続感染には,Th2反応の誘導による液性免疫の増強と菌体の排除にはTh1反応の活性化が重要であることを解明した。
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