配分額 *注記 |
11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
ヘムによる機能調節を受ける転写因子Bach1の機能解析を進め、造血細胞において基本的なタンパク質であるグロビンの合成をBach1が制御していることを明らかにした。更に、ヘム分解系の律速酵素と云われているヘムオキシゲナーゼの酸素による発現調節をBach1が制御していることも明らかとした。このようにして、ヘムおよび酸素を巡る生体調節系の一端を解明することができた。また、酸素に応答するホルモンであるエリスロポエチンの機能の解析も進め、悪性腫瘍の進展を制御していること、ことに腫瘍の血管形成が著明な調節下にあることが明らかとなった。このようにして、酸素に関わる生理的あるいは病理的変化が環境応答の一環を形成していることおよびその応答に関わる生体機能分子の一端が、示されたと考える。 また、赤血球と最も近縁の血相板系において、動脈硬化の成因や,その1帰結である病的、体系的血小板シグナル分子の同定のために質量分析を多用している.血小板の様々な活性化に関与するアダプター蛋白CrkLの新規結合蛋白として3'端しか知られていなかったDOCK180ファミリーに属する新規タンパクの5.6kbからなる全長cDNAをクローニングし,昨年度に引き続き詳細な解析を進めているノーザンブロティングでは広い組織分布を示していて,本分子が血小板にとどまらず単球系などでも動脈硬化に関連性の深い細胞移動や細胞接着に関与する可能性についても検討を加えた. さらに、血栓止血の最初期では血小板の粘着後の伸展などにアクチン重合が決定的に重要である.血小板のアクチン重合に低分子量Gタンパク質rac活性化が関与することが示唆されてきたが,そのrac活性化の下流の位置するシグナル分子は全く不明であった。我々はrac制御下にアクチン重合を制御するWAVEの3アイソフォームとも血小板に存在し,中でもWAVE1と2が共に豊富であるが,3者とも伸展血小板の葉状突起先端部に位置すること,やはり質量分析も駆使しWAVE制御タンパク質Abi-1,Sra-1やNap-1などが血小板に存在すること,これらがカルパインに基質であることなど血小板のアクチン重合に関する多くの新知見を得た。
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