配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2003年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
象形文字ルウィ語の動詞は,3人称単数語尾に含まれるtがrと交替するかどうかによって、2つめグループに分けられる.つまり,tenseの歯茎音を語尾に持つ動詞とlaxの歯茎音を語尾に持つ動詞とに分類できる.この現象は,楔形文字ルウィ語に限られたものではなく,リュキア語と襖形文字ルウィ語にも観察され,歯茎音がtenseであるかlaxであるかはそれぞれの動詞で一貫している. 象形文字ルウィ語の3人称単数中・受動態動詞は-taあるいは-raという語尾で特徴づけられており,より古い-aという語尾は記録に残っていない.他方,象形文字ルウィ語の動詞語尾の先史に生じたと考えられる-a→-taと-a→-attaという2つの形態変化は,ヒッタイト語の歴史時代にはなお働いている. うえの分析に従うならば,前期アナトリア祖語および印欧祖語に再建される3人称単数中・受動態語尾は1次語尾^*-or,2次語尾^*-oということになる,一般に受け入れられている^*-tor,^*-toは印欧祖語に遡らず,アナトリア語派が祖語から離脱した後につくられたと考えられる. 印欧語史的音韻論の分野で,喉音を文献資料のうえで保存しているヒッタイト語および他のアナトリア諸語は研究の発展に向けてきわめて重要な役割を果たしてきた,しかしながら,これらの諸言語の重要性は音韻論の分野に限られているわけではない,印欧語史的形態論の分野においても,アナトリアの諸言語は祖語の再建に向けて決定的な役割を果たす重要な言語特徴をなおよく保持しているのである.
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