研究概要 |
本研究では窒素系配位子を含む錯体の^<237>Npメスバウアー分光から,アクチノイド化合物の結合についての知見を得ることを目的に行なった。五方両錐7配位NpO_6N型の錯体[Np^<VI>O_2(acac)_2py]をNpO_7型のシュウ酸ネプツニル(VI)三水和物NpO_2C_2O_4・3H_2Oのメスバウアーパラメータと比較した。異性体シフト(δ)は窒素配位錯体の方が大きく,窒素原子の方が酸素原子よりNpの5f軌道に電子を供与していることがわかった.次に六方両錐8配位NpO_6N_2型の[NpO_2(NO_3)_2(2,2'-bpy)]を[NpO_2(acac)_2py]と比較した.δが大きくなっており,配位数の増加により7s電子の寄与が減少したためとして理解できた.結論として,ピリジン系配位子からの電子は,7sではなくむしろ5fに供与されることが示唆された.並行してウラニルを用いた物質開発をおこなった.[U^<VI>O_2(acac)_2(R-py)](R=Me,Et,^tBu,CN,Cl,NMe_2)やN_6型大環状Schiff塩基を配位子とする錯体,非環状Schiff塩基錯体など,含窒素配位子を含むウラニル(VI)錯体の開発を行ない,14錯体の結晶構造を決定した.
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