研究概要 |
本研究では,MRデータから手骨の三次元位置姿勢を求める時間を短縮する省力化システムを構築し,実際に健常成人被験者のMR計測を行って,手部の関節構造および皮膚変形量の特性を定量的に求めることを目的に行った.省力化システムとしては,一姿勢分のMRデータから従来通り手作業で骨モデルを作成しておき,他姿勢での計測データに対するモデルマッチングにより骨格位置姿勢を同定するシステムを構築した.この際,構築したシステムを利用することで,姿勢数がN個の場合,従来のおよそ(N-1)分の1まで短縮することが可能であり,処理する姿勢数が多いほど省力化の効果を大きく得られるシステムを構築できた.また,日本人健常成人男女10名について,4姿勢分のMR計測を行い,手骨位置姿勢および皮膚上に貼付したマーカの位置情報を求めた.関節の動きに関する特性としては,指節間関節を成す骨格の屈曲および回内角度の間に相関が認められ,関節回転軸の向きが屈曲に伴い変化することが分かった.また,このとき関節回転軸同士は平行ではなく,約12度ねじれの関係にあることも分かった.姿勢変化に伴う皮膚変形特性としては,MR計測時に皮膚表面に貼付したマーカの位置を,最も近くに存在する骨に対する3次元相対位置変化として整理したところ,各指の付け根の関節(MP関節)の直上では約10mm変形していることが分かった.
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