研究課題/領域番号 |
16580127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90226043)
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研究分担者 |
岸本 崇生 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60312394)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 広葉樹 / 木部繊維 / 仮道管 / 壁孔 / 脱水 / 走査電子顕微鏡 / 気体組成 / 低温走査電子顕微鏡 |
研究概要 |
広葉樹の木部繊維は、分化・成熟を終えるときに脱水される。これまでこの脱水現象に着目した研究例は見当たらず、その過程や機構は未解明である。そこで、この脱水現象の仕組みを解明することを目的として、3項目の検討をおこなった。第一に、脱水の過程を検討するために辺材最外層部における水の分布を低温走査電子顕微鏡で観察した。その結果、支持機能に特化した木部繊維は分化終了後すぐに脱水されるのに対して、通水要素的な木部繊維(仮道管)は分化後すぐには脱水されず、少なくとも5〜8年間にわたって水を保持しているのが確認された。この結果に基づき、両タイプの繊維細胞間では水の流動性を左右する壁孔の構造にどのような違いがあるのかを正しく把握しておくことが不可欠であると考え、第二の検討項目として代表的なタイプの木部繊維について繊維間の壁孔壁の構造について電界放射型走査電子顕微鏡で比較した。分化終了後脱水される繊維細胞間の壁孔壁は網状〜中央が大きく欠けた不完全な隔壁であるのに対して、分化後も脱水されない繊維細胞間の壁孔壁は水分通導に専業化した道管要素相互間の壁孔壁に類似したシート状の密な構造を有していた。これらの結果から、細胞間の壁孔壁の空隙構造の違いが分化後に脱水を引き起こすか否かを決定づける条件の一つになっているという仮説を植物学の国際誌に発表した論文おいて提案した。第三に、脱水時に水と置き換わる気体の由来について検討するために、分化・成熟完了後間もない木部より採取した気体の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた測定値のばらつきが大きく、再現性のある高精度な結果を期間内に得るには到らなかったが、分化後間もない辺材外層では少なくとも大気よりも二酸化炭素濃度が桁違いに高いことは明らかであった。細胞死間際の代謝に由来する呼気が繊維細胞の脱水に関与する可能性も示唆される。
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