研究課題
基盤研究(C)
脳における主要なグリア細胞であるアストロサイトは、シナプスの形成と成熟に関与しており、ニューロン間の持続可能なシナプス伝達に貢献しています。本研究により、アストロサイトの密度が高いほど、神経細胞(ニューロン)における興奮性シナプス伝達は高くなることが分かりました。また、形態学的に同定されたグルタミン酸作動性シナプスの全体的な数は変化しませんでしたが、伝達物質を放出できる機能的シナプス(アクティブシナプス)の割合は増加しました。つまり、ニューロンを取り巻くアストロサイトの高密度化は、シナプス前の非サイレンシングを介して興奮性シナプス伝達を強化することが明らかとなりました。
脳高次機能を有する高等動物ほど、脳内のグリア細胞の数が多いといわれています。その多数を占めるアストロサイトが欠如すると、神経回路の架け橋である『シナプス』の数は激減し、伝達物質放出機能も低下します。研究代表者はこれまでに、アストロサイトの液性因子は重要であるが、アストロサイトの占有面積とシナプス機能には相関関係はないことを報告しました。この成果を更に発展させるため、本研究ではアストロサイトの“密度”に着目し、アストロサイトとニューロンの混成比の違いによるシナプス機能(情報伝達)とシナプス形態(形成秩序)を解析し、アストロサイト密度と高次機能の相関関係を明らかにしました。
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