研究課題
若手研究(B)
chiral p波超伝導の候補物質であるSr2RuO4は、その超伝導の起源や超伝導の秩序関数について現在でも盛んに議論が続いている。Sr2RuO4に関する残された問題を解決するために非弾性中性子散乱の手法を用いて研究を行ってきた。その結果、バンド毎の磁気揺らぎの観測し、格子非整合磁気揺らぎのスピンギャップの測定に成功した。特に、スピンギャップ近傍のエネルギーの磁気揺らぎのL依存性を精密に測定することで、Sr2RuO4の超伝導ギャップ関数が水平ラインノードを持つことを新たに解明した。この結果はSr2RuO4において未解明の問題である超伝導秩序関数の決定に重要な知見を与えることが期待される。
本研究では、非弾性中性子散乱の手法よってSr2RuO4の超伝導ギャップ関数が水平ラインノードを持つことを解明した。この結果はSr2RuO4の超伝導関数の対称性が、従来報告されていたchiral p波の超伝導ではなくspin singletである事を強く示唆している。Sr2RuO4はトポロジカル超伝導体の候補物質として提案されているが、本研究の結果はその提案の再考を促すものであり、それ故に有意義であると考えられる。一方で、spin tripletの起源となりうる強磁性揺らぎも観測されており、Sr2RuO4に関して今後のさらなる研究を促す効果も期待できる。
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Scientific Reports
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Journal of the Physical Society of Japan
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210000134492