• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

短繊維強化樹脂複合材料のX線による非破壊内部疲労損傷評価手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K03852
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分18010:材料力学および機械材料関連
研究機関名城大学

研究代表者

清水 憲一  名城大学, 理工学部, 教授 (50294434)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
キーワード短繊維GFRP / 放射光 / X線 / ひずみスキャンニング法 / マイクロメカニックス / 疲労 / 短繊維樹脂複合材料 / X線測定 / 繊維配向 / ウェルド
研究実績の概要

結晶性熱可塑性樹脂PPSを,ガラス短繊維で強化したGFRPの射出成形平板の側面から放射光による単色X線を入射し,透過法によるひずみスキャンニング法を用いて,PPS相の板厚方向ひずみ分布を測定した.引張負荷に対するPPS相のひずみ分布の変化を測定し,マイクロメカニックスおよび有限要素法による解析と比較した.以下に得られた主な結果をまとめる.
(1) ひずみスキャンニング法により,板厚1mmの射出成形平板の表面の射出方向に繊維が配向したシェル層(厚さ0.4 mm),および中央の直交方向に繊維が配向したコア層(厚さ約0.2 mm)の,各層内のひずみを分離して測定することが可能であった.
(2) 引張負荷に伴う母相ひずみの負荷方向の変化率は,繊維方向の方が,繊維と垂直方向より小さいが,大略負荷軸方向のマクロひずみ変化率に等しく,ひずみ一定モデルに近い変形をした.一方,板厚方向の母相ひずみは負荷ひずみとは逆に比例的に減少した.
(3) 一方向配向材のマイクロメカニックスを用いて求めた引張負荷による母相のひずみ変化率は,X線による実測値と比較すると,繊維と90°方向に負荷した場合,負荷方向および板厚方向ともに変化率は大きい.これは,板厚方向に繊維配向が分布した3層積層構造に起因すると考えられる.
(4) 射出成形平板をシェル層とコア層からなる3層積層構造からなるFEMモデルで,引張負荷に伴うひずみ変化率を解析し,マイクロメカニックスで母相のひずみに変換した.ひずみ変化率の解析結果はX線実測値とよく一致した.
(5) 無負荷状態で内在する熱ひずみの実測値は,繊維配向によらず零に近い値であった.これはマイクロメカニックスによる予測より小さく,今後マイクロメカニッククスとFEMを組み合わせた解析が必要である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

短繊維GFRPの射出成形平板の側面から放射光による単色X線を入射し,透過法によるひずみスキャンニング法を用いて,PPS相の板厚方向ひずみ分布を測定し板厚1mmの平板の表面の射出方向に繊維が配向したシェル層(厚さ0.4 mm),および中央の直交方向に繊維が配向したコア層(厚さ約0.2 mm)の,各層内のひずみを分離して測定することに成功した.その結果,引張負荷に伴う母相ひずみの負荷方向の変化率は,繊維方向の方が,繊維と垂直方向より小さいが,大略負荷軸方向のマクロひずみ変化率に等しく,ひずみ一定モデルに近い変形を生じることがわかった.一方,板厚方向の母相ひずみは負荷ひずみとは逆に比例的に減少した.これに対して,一方向配向材のマイクロメカニックスを用いて求めた引張負荷による母相のひずみ変化率は,X線による実測値と比較すると,繊維と90°方向に負荷した場合,負荷方向および板厚方向ともに変化率は大きかった.これは,板厚方向に繊維配向が分布した3層積層構造に起因すると考えられる.そこで,射出成形平板をシェル層とコア層からなる3層積層構造からなるFEMモデルで,引張負荷に伴うひずみ変化率を解析し,マイクロメカニックスで母相のひずみに変換した.ひずみ変化率の解析結果はX線実測値とよく一致すること示した.

今後の研究の推進方策

無負荷状態で内在する熱ひずみの実測値は,繊維配向によらず零に近い値であった.これはマイクロメカニックスによる予測より小さく,今後マイクロメカニックスとFEMを組み合わせた解析が必要であることが示唆された.今後,繊維配向状態がより複雑なウェルド部を有する材料について同様の実験を行い,繊維配向状態を加味したFEM解析によって得られたGFRP繊維とPPS樹脂相のひずみ分布の解析結果と,X線ひずみスキャンニング法による実験結果を比較する予定である.

報告書

(2件)
  • 2019 実施状況報告書
  • 2018 実施状況報告書

研究成果

(15件)

すべて 2020 2019 2018

すべて 雑誌論文 学会発表

  • [雑誌論文] ガラス短繊維強化樹脂の内部ひずみ分布の放射光ひずみスキャンニング法による評価2020

    • 著者名/発表者名
      SHIMIZU Kenichi、IWAHORI Keisuke、SATO Tatsuki、TSUCHIHASHI Hiromu、KATO Naoki、TANAKA Keisuke
    • 雑誌名

      材料

      巻: 69 号: 4 ページ: 300-307

    • DOI

      10.2472/jsms.69.300

    • ISSN
      0514-5163, 1880-7488
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] ウェルド部を有する短繊維GFRP の疲労特性2019

    • 著者名/発表者名
      〇清水憲一(名城大),竹田章悟(名城大理工),土橋広武(名城大院),岩堀恵介(デンソー)
    • 学会等名
      日本材料学会第68 期学術講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維GFRPの三軸熱ひずみおよび引張条件下における内部ひずみ変化の評価2019

    • 著者名/発表者名
      岩堀恵介(デンソー),〇清水憲一(名城大),佐藤龍樹(名城大院),土橋広武(名城大院),田中啓介(名産研)
    • 学会等名
      第53回X線材料強度に関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 層状組織を有する短繊維CFRP の疲労き裂前縁形状の評価2019

    • 著者名/発表者名
      〇加藤直己(名城大院),清水憲一(名城大),岩堀恵介(デンソー),田中啓介(名産研)
    • 学会等名
      日本機械学会M&M2019材料力学カンファレンス
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 射出成形した短繊維CFRP の疲労に伴うスティフネスの変化と疲労特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      〇土橋広武(名城大院),清水憲一(名城大),岩堀恵介(デンソー),田中啓介(名産研)
    • 学会等名
      日本機械学会M&M2019材料力学カンファレンス
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 円孔を有する短繊維CFRP の疲労き裂発生挙動2019

    • 著者名/発表者名
      〇佐藤龍樹(名城大院),清水憲一(名城大),岩堀恵介(デンソー),田中啓介(名産研)
    • 学会等名
      日本機械学会M&M2019材料力学カンファレンス
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維GFRPの異方性が疲労強度に与える影響2019

    • 著者名/発表者名
      〇犬飼英人(名城大院),清水憲一(名城大),岩堀恵介(デンソー),鈴木良典(名城大院)
    • 学会等名
      2019年度日本ばね学会秋季定例行事
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維GFRP射出成型板のX線応力測定と疲労破壊挙動2019

    • 著者名/発表者名
      ○鈴木良典 (名城大院),土橋広武 (名城大院),清水憲一 (名城大),岩堀恵介 (デンソー),田中啓介 (名産研)
    • 学会等名
      第19回破壊力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維強化CFRP射出成型板のき裂進展速度に及ぼすき裂閉口の影響2019

    • 著者名/発表者名
      ○加藤弘之 (名城大院),清水憲一 (名城大),岩堀恵介 (デンソー),田中啓介 (名産研)
    • 学会等名
      第19回破壊力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] Effect of Thickness on Fatigue Crack Propagation in Injection Molded Short Carbon Fiber Reinforced Plastics2018

    • 著者名/発表者名
      Kenichi Shimizu, Yuya Hasegawa and Keisuke Tanaka
    • 学会等名
      Fatigue2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] 短繊維強化樹脂材料の疲労に伴うスティフネスおよび樹脂相応力の変化2018

    • 著者名/発表者名
      清水憲一,土橋広武,王チン,岩堀恵介,田中啓介
    • 学会等名
      X線シンポジウム2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 射出成型した短繊維FRPの疲労き裂発生挙動に及ぼす繊維配向の影響2018

    • 著者名/発表者名
      土橋広武,王チン,清水憲一,岩堀恵介,田中啓介
    • 学会等名
      疲労シンポジウム2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維CFRPの疲労き裂進展挙動に及ぼす層状組織の影響2018

    • 著者名/発表者名
      加藤直己,長谷川祐哉,清水憲一,岩堀恵介,田中啓介
    • 学会等名
      疲労シンポジウム2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維CFRPの疲労き裂発生挙動に及ぼす切欠き穴径の影響2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤龍樹,清水憲一,王チン,岩堀恵介,田中啓介
    • 学会等名
      M&M2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 短繊維CFRPのき裂開閉口挙動2018

    • 著者名/発表者名
      加藤 弘之,清水憲一,岩堀恵介,田中啓介
    • 学会等名
      M&M2018
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2018-04-23   更新日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi