研究課題/領域番号 |
18K13213
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
加藤 浩平 東京学芸大学, 教育学研究科, 研究員 (20812481)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症(ASD) / Quality of Life (QOL) / 余暇活動支援 / 会話型ロールプレイングゲーム(TRPG) / コミュニケーション支援 / Quality of Life(QOL) / quality of life(QOL) |
研究実績の概要 |
今年度は、引き続き、教育・療育の現場でも援用可能な会話型RPG(TRPG)プログラムのプロトタイプ着手と、そのプログラム作成のベースのための自閉スペクトラム症(ASD)児を対象にした会話型RPG(TRPG)活動における進行役のゲームマスター(GM)の役割に関する研究、そして、それらについて国内外で研究発表をおこなった。研究としては、まず「自閉スペクトラム症児のTRPG活動における会話の促進とゲームマスターの役割」という演題で論文を投稿した。詳細としては、TRPG活動にプレイヤーとして参加したASD児2名および、TRPGのファシリテーター(進行・審判役)であるGM、それぞれに焦点を当て、活動中の発話内容を逐語録を基に会話分析をおこない、ASD児とGMのそれぞれの発話の変容について検討した。分析の結果、TRPG活動を重ねていく中で、GMの語りが選択肢の限られた質問形式から自由度の高い発話に変化し、同時にASD児も自由度の高い活動ができるようになっていくという変化が見られたという結果が得られた。また「TRPGのゲームマスター経験はASD 者のコミュニケーションにどんな影響を与えたか?」という演題で、プレイヤーとしてのTRPG参加を経て、その後GMとして活動をするようになったASD青年(Aさん)に焦点を当て、Aさんの事例研究について研究発表(口頭発表)をおこなった。詳細としては、対象のASD青年(Aさん)に半構造化面接を実施し、GMを志したきっかけやGMを実際に担当しての感想などについて自由に語ってもらい、面接内容から逐語録を作成し質的な分析を行った。結果としてAさんがGMをすることへの高いモチベーションを抱きながら時間をかけて他者のやり方を観察するなど自身がTRPGのGMをするために必要なコミュニケーション力を蓄積してきたことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
5年目の今年度は、教育・療育の現場でも使用可能なTRPGプログラムのプロトタイプ着手のベースとなる研究としてTRPGを通じたASD児とGMの会話の変化やGMとして成長したASD青年を対象にした事例研究を行った。しかしながら、以前より緩和されたとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした集団活動への参加モチベーションの低さは如何ともし難く本研究計画のメインであるTRPGを用いたASD児への介入研究やTRPGに参加したASD児への面接調査が困難な状況が継続している。そのためTRPGプログラムのテストプレイも実施を延期せざるを得なくなっている。それらの影響により、本研究は予定より遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
6年目は、2年目の途中で新型コロナウイルスの影響で延期していた知的障害のない10代のASD児を対象にしたTRPGを通じた介入研究を出来る限り可能な範囲で再開する。必要に応じて、これまでの研究協力団体を通じて、参加児の再募集もおこなう。また同時に、TRPG活動に参加したASD当事者のうち、現在もTRPGを趣味としながら就労も継続をしているASD者に研究への協力を依頼し、「TRPG活動への満足度」および「TRPG活動を通して感じた自分の変化」についての面接調査を実施する。面接内容を縦断的な事例研究の形でまとめる予定である。また保護者や過去の対象者の支援者にも協力を得て、収集したデータについて、質的な分析・検討を行う。
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