研究課題/領域番号 |
19H00647
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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研究分担者 |
桑原 慶太郎 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (90315747)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2020年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2019年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 強磁場 / X線自由電子レーザー / 電子相転移 / X線散乱 / 極端条件 / X線自由電子レーザー / X線散乱 / 超強磁場 / 磁場誘起相転移 / 超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
熱揺らぎを抑制した超低温における強磁場誘起相転移では, 本質的に量子ゆらぎが相転移を支配し, 強電子相関により電子状態が激変する電子相転移が引き起こされる. そこでは, 物質のもつ多自由度相関により対称性の破れが支配され, しばしば非自明な秩序状態が現れる. 強磁場下で全ての電子が押し込められ, 身動き出来ずせめぎ合う時に, “多体電子系がどのように対称性を破り, 秩序化するのか?”は, 物性研究の核心であり, 電子相転移の普遍性と多様性の理解は物質科学の最重要な課題の1つである. 本研究では, 未踏の70T 超領域の超強磁場XFEL 散乱手法を開拓し, 電子相転移の研究へ応用する.
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研究成果の概要 |
超強磁場で誘起される電子系の相転移と結晶の対称性の関係を、超強磁場X線回折で研究した。成果として、これまで難しかった極低温、超強磁場下での高精度・高感度のX線回折手法を確立した。これによって、熱によるぼやけを排除して磁場誘起相転移における構造変化を決定する事が可能になった。これを用いて、イットリウム系の高温超伝導体およびランタン系の高温超伝導体の磁場誘起電荷密度波の共通性を明らかにし、普遍的な電子状態の存在を強く示唆する結果を得た。さらに、半金属グラファイトにおいて、超強磁場下での電子系の1次元化に伴う密度波転移が、格子の非単調な変調を伴うことを見出し、変調波数がロックされる可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強磁場は電子の運動とスピンに大きな影響を与え、新しい状態が強磁場下で誘起されることは、多くの物質で見出されてきた。そのような新しい電子相の理解には、電子構造、とりわけ、結晶格子と結合したバンド構造の周期性や対称性の変化をX線で直接決定することが欠かせない。そのような実験はこれまで困難であったが、本研究によって、小型パルス磁場発生装置とX線自由電子レーザーを組みあわせた手法が確立した。これにより、強磁場中の電子状態の理解が格段に進展することが期待される。このような学術的な進展は、磁場による物質制御法の開拓とそれを用いた機能性材料の開発などに役立てられることが期待される。
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