研究課題
基盤研究(A)
宇宙暗黒物質問題は、宇宙物理学及び素粒子物理学の最大の課題である。本研究では総質量150 kgの大型かつ世界最高純度のタリウム添加ヨウ化ナトリウム(以後NaI(Tl)と略記する) を用いてイタリアのDAMA/LIBRAグループ が主張している宇宙暗黒物質によるエネルギースペクトルの微小な季節変動を検証する。世界最高純度の結晶を用いて、NaI(Tl)を用いたグループとして世界最高感度の探索を行なう。
宇宙暗黒物質を探索するために、高純度のNaI(Tl)検出器を開発した。当初の計画では質量約6 kgの大型結晶を複数個製造して測定感度を向上させる予定であった。研究計画を推進する中で、結晶の更なる高純度化が必要となったため、方針を変更して高純度化を推進することとなった。NaI(Tl)結晶の高純度化のために原料の純化行程を詳細に検討し、再結晶化による放射性カリウムの除去と、イオン交換樹脂による放射性鉛の除去を組み合わせたハイブリッド型純化方法を開発した。その結果、鉛210などの純度について目標を達成し、将来の大型化による高感度化への道筋を切り開くことに成功した。
宇宙暗黒物質探索実験は、宇宙物理学、素粒子物理学の最重要課題の一つである。様々なモデルによって提案されている宇宙暗黒物質の候補を探索する実験は、高感度の放射線検出器を応用して実行されているが、確定的な信号は未だに捉えられていない。本研究ではタリウム添加ヨウ化ナトリウム結晶(NaI(Tl)と略記する)を用いた宇宙暗黒物質探索の感度を向上させるために結晶の純化に取り組んだ。その結果世界で最も高純度な結晶を製造することに成功した。この成果を応用することで世界の宇宙暗黒物質探索実験のみならず、重ベータ崩壊探索実験など極高感度の実験に対する感度を飛躍的に向上させることができる。
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