研究課題/領域番号 |
19H01011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)
2021年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2020年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2019年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
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キーワード | 機能回復 / 運動制御 / 脊髄損傷 / 霊長類 / 半球間抑制 / 巧緻運動 / 回路操作 / ウイルスベクター / 予測誤差 / マカクザル / 運動野 |
研究開始時の研究の概要 |
中部頚髄において皮質脊髄路を損傷したサルが手指の巧緻運動を機能回復させる過程において、「損傷直後に観察される感覚運動野の高γ帯域の活動亢進」が予測誤差(運動指令の内部コピーと運動結果のフィードバックとの差)によって生じることを示す。次に、その予測誤差が計算される部位が後索系なのか小脳を介する経路なのかを感覚性視床(VPL核)及び運動性視床(VA核)からの神経活動記録によって明らかにする。そしてこの予測誤差信号が機能回復を引き起こすのに必須であることを、VPL核ないしはVA核の薬理学的機能阻害ないしはウィルスベクターを用いた経路遮断をこれら視床核から皮質感覚野への投射経路に適用することによって証明する。
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研究成果の概要 |
ヒトの近縁種であるサルの中部頚髄(C4/C5髄節)における側索背側部を切断しても訓練により手指の巧緻運動は良く回復する。その際、両側運動関連領野の活動をECoG電極を用いて縦断的に記録したところ、回復初期に損傷同側運動前野において、運動開始時に活動の増加を認めた。この運動開始時の同側運動野の活動に対する反対側運動前野からの入力の効果を知るために、ウィルスベクター2重感染法とDREADD法を組み合わせて、反対側運動前野から同側運動前野に至る交連線維を可逆的に遮断したところ、損傷前は抑制性であった半球間の相互作用が損傷後は興奮性に転じ、同側運動前野の運動への関与を促進していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来より脳卒中や脊髄損傷の患者において、障害された手と同側の皮質運動関連領野の活動が増加することが知られていたが、その意義は明らかでなかった。今回の一連の研究により、少なくとも回復初期において、障害同側運動前野の活動が、脱抑制によって、反対側皮質によってもたらされ、かつ機能回復に貢献していることが明らかになったことは、運動障害のリハビリテーション治療を体系づける上での意義は大きいと考える。
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