研究課題/領域番号 |
19K00323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
竹島 一希 京都府立大学, 文学部, 准教授 (10733991)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 東常縁 / 宗祇 / 古今伝授 / 東家 / 平松抄 / 内外口伝歌 / 三条西実隆 / 近衛尚通 / 東家流 |
研究開始時の研究の概要 |
古今伝授において、東常縁から宗祇へ伝えられた流派が最も主流であるとされる。特に常縁講・宗祇録『両度聞書』は、政教主義的解釈など画期的な『古今集』注釈書であった。『両度聞書』には、常縁の師である堯孝から伝えられた説と、和歌の家である東家に伝来した説の2説が混在していると漠然と考えられてきた。しかし、近時、『両度』が堯孝説のみから成ることが論証された。そのため、常縁が主張する東家伝来の説が本当に存在したのか、疑問を抱かれるようになった。 本研究は、常縁が甥の元胤に伝えた『或聞書中有所存抜書』を中心に、諸書を探索することで、東家に伝わった『古今集』注釈書を探索する試みである。
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研究成果の概要 |
東常縁は宗祇に古今伝授を行ったことで、古今伝授の実質的な始祖とされる。常縁の『古 今和歌集』講義を聞いた宗祇がまとめた『両度聞書』以外に、東家に伝来した『古今集』 注釈書は知られていなかった。 今回の研究では、奥書に常縁の名前のある『或聞書中有所存抜書』を端緒に、諸書に散在 する東家伝『古今集』注の名残を指摘した。具体的には、三条西家集成『古今集』注に書 き込まれた○付き片仮名細字注、『永正記』の東家説、『古今集抄』(平松抄)の東殿説は、 いずれも同じ書物からの引用である。その東家伝『古今集』注は、『両度聞書』より低位 の、全歌注であったと推定できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
東常縁が宗祇へ伝えた『両度聞書』は、常縁の師の尭孝の説そのものであり、そこに常縁 説、東家説はほとんど含まれない。東家は、東胤行(素暹)以来、勅撰歌人を輩出する、 武家歌人の名家である。その東家に、家説がなかったとは考えにくい。今回見出された東 家『古今集』注は、最高の秘説である『両度聞書』には及ばないものの、それ故より多く の門弟に伝授されたと思しい。東家『古今集』注の発見によって、東家伝来の家説の内実、 低位の伝授の実態を知ることができた。さらに、東家『古今集』注は、他の注釈書に紛れ 込んでいる可能性もあり、これを基準とすることで新たなる注文が見つかることも期待で きる。
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