研究課題/領域番号 |
19K03393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 正典 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 特定教授 (30124548)
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研究分担者 |
土橋 宏康 宮城教育大学, 教育学部, 特任教授 (00146119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 代数幾何学 / トーリック多様体 / カスプ特異点 / コクセター群 / 直角鏡映群 / 凸多面体 / 無限扇 |
研究開始時の研究の概要 |
空間内の有理凸多面体からトーリック多様体と呼ばれる代数多様体が構成される.この凸多面体を非有界なものにまで拡張し,対称性の高いものを考えるとトーリック因子とこれを収縮したカスプ特異点が得られる.代数多様体の分類理論との類似性もあり,凸多面体に伴う双対性や数論との関係も興味深い.この観点でトーリック多様体理論を拡張した扇の理論を展開したい.
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研究実績の概要 |
本研究の主な対象であるトーリック型カスプ特異点つまり土橋カスプ特異点は,格子点の指定された実空間の開凸錐に離散線形群が格子点集合を保存するように作用していて,その開凸錐の分割で多面錐の集合である扇がいくつかの条件を満たす場合に,扇の定義するトーリック多様体の離散群の作用による商空間を非特異化とする孤立特異点である.これは元々は複素解析的特異点であるが,研究代表者により任意の体上の完備局所環としても構成できることが証明されている.また,その非特異化はその完備局所環上の形式スキームとして実現できる.本研究ではカスプ特異点を中心に,様々なトーリック多様体の問題について考察しようとするものである. 研究代表者の石田はこれまでと同様に Vinberg の線形コクセター群の例を与える直角鏡映群について研究を継続している.3 次元で立方体の部分群の分類と整理を行い,さらに高次元化が可能か考察中である.また 3 つの元で生成されるコクセター群について,これまでと同様にコクセター群から構成される曲面に自由に作用する部分群を見つける計算機プログラムについても,昨年度購入したパソコンに接続できるモニターを購入して他の場合に適用出来るよう準備している. またヒルベルトモジュラーカスプ特異点のものと同様なゼータ関数が,トーリック型カスプ特異点についても開凸錐に含まれる格子点の作用に関する代表系と開凸錐の特性関数を用いて定義される.扇に含まれる多面錐に限った関数を部分ゼータ関数として考えることも出来る.この部分ゼータ関数とカスプ特異点のゼータ関数には容易に得られる関係式はあったが,ゼータ関数については成り立つ特殊値の有理性などについて考察しているがまだ結果は得られていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者がこれまでに考えた格子点集合を固定した 3 次元実空間の立方体の鏡映群 W であるが,これは 3 次元実空間に作用するアフィン等長変換群の部分群となる.これは辺の長さが 1 の立方体の 6 つの面についての鏡映変換で生成されるが,これ自体は鏡映面など多くの固定点を持つ.一方,立方体の位数 48 の自己同型群 G と鏡映群 W と合成することにより,W を指数 48 の部分群として含む離散群 GW を構成することが出来る.この GW の指数 48 の別の部分群をうまくとることにより 3 次元空間に自由に作用してしかも元の立方体が基本領域となるように出来る.計算機を使った計算によりこのような群が同値類として 18 通りあることが得られている.また,これに対応するトーリック多様体とその離散群による商空間を考えると代数的トーラスを被覆空間とする代数多様体のトーリック因子への退化が実現できる.引き続きこの考察と手法の高次元の場合への拡張や,レーベル多面体などの双曲空間の凸多面体にも試してカスプ特異点の構成を行おうとしているが,現在のところさまざまな困難があり余り研究は進んでいない. また,ゼータ関数の定義を扇に含まれる多面錐に限った部分ゼータ関数を考えた場合,カスプ特異点のゼータ関数との関係式は得られたが部分ゼータ関数の特殊値の有理性など,多面錐的ローラン級数を用いる方法が有効か考察を行っているが成果はまだ十分とは言えない
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今後の研究の推進方策 |
本研究のテーマであるトーリック型カスプ特異点は開凸錐とそれに作用する離散群から構成されるが,このような例の構成に双曲型などの無限コクセター群が非常に有用であり,すでに数多くの実例が見つかっている.特に存在が不明であった 5 次元カスプ特異点の構成が可能であることも土橋の研究で示された.これらの例についての解析は困難な部分がいろいろあるが,新たな手法を開拓しながらさらに研究を進めていきたい. なお,2020 年度まで分担者であった土橋は勤務先の宮城教育大学を退職したためこの年度で分担者を終了し 2021 年度からは研究代表者だけで研究を行っている.なお土橋の手法については石田がかなり会得している. ウイルス感染症の拡大のため 2022 年度までは研究のための出張がほとんど出来なかったが 2023 年度からは可能となった.2023 年 3 月の東京での日本数学会年会に出席した他,6 月には中央大学理工学部での第76回 ENCOUNTER with MATHEMATICS 「K3 曲面 -未だ尽きせぬその魅力-」に出席し,2023 年 9 月の東北大学での日本数学会秋季総合分科会と 2024 年 3 月の大阪公立大学での日本数学会年会に出席した.また研究期間の 2 回目の延長が認められたので 2024 年度も数学会や関連する研究集会などが対面で行われればこれに参加して研究に役立てる予定である. 研究代表者はかつてトーリック多様体に関するさまざまな複体の構成を行っているが,最近海外ではこれを応用した交叉ホモロジー理論の研究も行われている.可能であればこのような方向の研究も行いたい.
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