研究課題/領域番号 |
19K03578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
酒井 一博 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (30205702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 擬軌道尾行性 / 尾行可能測度 / 確率測度 / 一様双曲型 / 非一様双曲型 / 占有的分解 / エルゴード的測度 / 力学系理論 / 双曲性 |
研究開始時の研究の概要 |
fを多様体M上の微分同相写像とし, M上の確率測度全体を\cal{M}(M)とする。また、f-不変確率測度全体を\cal{M}_f(M)で、エルゴード的f-不変確率測度全体を\cal{M}_f~e(M)で表す。本研究では、\cal{PS}={f:\mu-尾行可能 (\forall \mu \in \cal{M}(M))}, \cal{IS}={f:\mu-尾行可能 (\forall \mu \in \cal{M}_f(M))}、そして \cal{ES}={f:\mu-尾行可能 (\forall \mu \in \cal{M}_f^e(M))}を考察対象とし、これらの集合のC~1-位相に関する内点を一様双曲性や非一様双曲性の概念を用いて特徴付ける。
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研究成果の概要 |
本研究では測度論の視点から擬軌道尾行性の概念を一般化し,研究対象とする力学系を非一様双曲系に拡張することで尾行性理論の新展開を目指したが,完成には至っていない。具体的には,擬軌道の集合に尾行可能測度の概念を導入し,測度論的手法により微分同相写像の尾行可能な擬軌道の振舞を解析することで微分幾何学的力学系理論の立場から尾行可能測度を持つ力学系の特徴付けを目指した。 本研究の推進過程において,次の特筆すべき成果を得た。一般に尾行性を持たない力学系に対する擬軌道の尾行可能測度による量的評価及び,ルベーグ測度が尾行可能測度であるような力学系の,C~1微分同相写像の範疇での開集合の存在証明である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では測度論の視点から擬軌道尾行性の概念を一般化し,研究対象とする力学系を非一様双曲系に拡張することで尾行性理論の新展開を目指した。その完成には至らなかったが,擬軌道集合の尾行可能測度による量的評価や,多様体上のルベーグ測度が尾行可能測度となる力学系の開集合の存在など,単に力学系の特徴付け研究にとどまることなく,研究の推進過程で発見された新たな解析手法や知見など,力学系理論全体における研究の進展に貢献することができた。 また,尾行可能測度の概念は非一様双曲系に適用可能であり,カオス研究とも深い関係がある。本研究で得られた新たな知見はカオス理論研究の応用面においても大きな寄与が期待できる。
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