研究課題
基盤研究(C)
生物にはホモタリズムとヘテロタリズムの二つの生殖様式が知られている。単細胞藻類ヒメミカヅキモには、+型と-型の遺伝的に決定された性を持つヘテロ系統と、1細胞由来の同一クローン同士で接合子をつくるホモ系統が存在する。本研究では、ホモ系統とヘテロ系統の染色体を観察し、染色体の増加と生殖様式の関係を明らかにする。そして、性決定遺伝子CpMinus1に注目し、この遺伝子が、生殖様式を制御しうるのかを検証する。最終的にヒメミカヅキモにおいて、生殖様式決定機構とその進化を明らかにする。
ヒメミカヅキモには、+型と-型の遺伝的に決定された性を持ち、両性の間で他殖するヘテロタリズム系統が存在する。また、1細胞由来のクローン細胞の間で接合子をつくり自殖するホモタリズム系統が存在する。これら生殖様式の進化はヒメミカヅキモにおいて独立に複数回起きていることが明らかになっているが、どの様に生殖様式が変化するのか不明であった。そこで、ヒメミカヅキモにおける複数系統のゲノム量の多様性を明らかにし、そのゲノム解析を行った。ゲノム構造を比較したところ、異なるヘテロタリズム系統の間で雑種が生まれ、そこからあるホモタリズム系統が進化したことを明らかにしている。
ヒメミカヅキモが属する接合藻類は陸上植物に最も近縁な藻類であり、植物の進化を考える上で注目されている。本研究は接合藻類のモデル生物としてヒメミカヅキモに注目し、複数の野生株におけるゲノム量と染色体構造を明らかにした。また、ロングリードシーケンスによる正確なゲノム情報を得ることに成功し、細胞生物学的、分子生物学的基盤が整備された。これらの成果から陸上植物と接合藻類の比較解析も可能となり、今後、接合藻類を用いた進化生物学的な解析の発展が期待される。
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bioRxiv
巻: 538656
10.1101/2023.05.01.538656
New Phytologist
巻: 237 号: 5 ページ: 1636-1651
10.1111/nph.18662