研究課題/領域番号 |
19K11741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
矢野 彰三 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (80403450)
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研究分担者 |
磯村 実 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (40272497)
長井 篤 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40273940)
山崎 雅之 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (60379683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | コリン代謝物 / 動脈硬化 / バイオマーカー / コホート研究 / コリン代謝産物 / TMAO / Carnitine / 心血管リスク |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌由来のコリン代謝産物は、心血管疾患を含む多くの病態と関連していることが明らかになりつつあるが、多くの代謝物の中で日本人で重要な物質は何か、それが疾患予知因子となりえるかについては明らかでない。本研究では、(1)複数分子の同時測定系の確立、(2)地域住民を対象にしたコホート検体の測定、(3)測定値と心血管疾患ならびに動脈硬化指標との関連について解析を行い、複数の分子を選択し重みづけによる疾患尺度を創出する。日本人によるエビデンスを構築することにより、わが国における個人の疾患リスクや予後予測、ハイリスク者の特定などが可能になると期待される。
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研究成果の概要 |
私どもは、Trimethylamine-N-oxide(TMAO)を含むコリン代謝物のLC/MS/MSシステムによる同時測定系を確立した。健診検体の解析の結果、血中TMAO濃度は、魚介類の摂取量に比例すると考えられた。頸動脈内膜中膜複合はtrimethyllysinと負相関を示し、TMAOとの相関を認めなかった。サブ解析で性差を認め、コリン代謝物は日本人男性の動脈硬化指標とはならないこと、日本人女性では、L-Carnitineの高値が動脈硬化指標になりうることが示された。以上から、魚介類摂取の多い日本人では欧米と異なり、TMAOレベル増加が心血管病に寄与しないことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、コリン代謝物を中心とした腸内細菌由来代謝物について、動脈硬化に対するリスク因子として、どの分子がどの程度日本人で有用かを評価した。人種差または食物の違いがこれら候補分子の血中濃度や動脈硬化リスクに影響する可能性を指摘したことは学術的意義が高い。魚介摂取の多いノルウェイの研究でも、私共の結果と同様に、コリン代謝物が心血管病リスクにならないことを示している。魚介類はEPA, DHAなどのω-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含み、心血管疾患や認知症の予防に有効とされる。低下傾向にあるわが国の魚介類摂取を推進する上で、社会的意義を見出すことができよう。
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