研究課題
基盤研究(C)
醤油粕等の廃バイオマス(WBM)中には、炭水化物や蛋白質等に由来するC・N源や塩分等の多様な成分が含まれる。中度好塩性細菌Halomonas elongataは、塩濃度の変化に適応し、WBM中のC・N源をアミノ酸(AA)誘導体のエクトイン(ECT)に高効率に再資源化するAA代謝機構を備えているが、その詳細は不明である。そこで、本研究では、ECT生合成系を欠失したH. elongata KA1株を親株とし、ECT以外のAA類が過剰蓄積した突然変異株を取得し、AA代謝制御機構の鍵となる変異遺伝子を同定する。さらに、WBMをECT等の機能性AA類に再資源化するリサイクルバイオ技術基盤を構築する。
中度好塩性細菌ハロモナスは、アスパラギン酸(Asp)経路を介して有用性が高いエクトインを浸透圧調節物質として生合成できる。本研究で得た、グルタミン酸(Glu)過剰生産変異株であるGOP株により、Glu経路を介して有用性が高い多様な浸透圧調節物質を生合成する細胞工場の開発が可能となった。実際、GluをGABAに変換するGADシステムをGOP株に導入し、高塩環境下でGABAを主要な浸透圧調節物質として生合成できるGOP-Gad株の創製に成功した。今後は、バイオマス由来の多様な炭素・窒素源を資化する能力に優れたGOP-Gad株を活用することにより、持続可能なGABA生産細胞工場の開発が期待される。
本研究成果により、ハロモナスは、アスパラギン酸経路を介してエクトインを生合成する能力以外に、グルタミン酸経路を介してGABA等の多様な浸透圧調節物資が生合成できることが初めて示された。今後は、GOP株の変異遺伝子を解析することにより、アスパラギン酸経路またはグルタミン酸経路を介した、ハロモナスにおける浸透圧調節物質の生合成機構の学術的な解明が進むことが期待される。また、得られた学術的知見を応用することにより、廃バイオマスから有用性の高い多様なアミノ酸類を生産するハロモナス細胞工場の開発が期待できる。
すべて 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (5件)
IOP Conference Series: Earth and Environmental Science
巻: 439 号: 1 ページ: 012001-012001
10.1088/1755-1315/439/1/012001
https://nakayamalab.com
https://www.nagasaki-u.ac.jp/marine/
https://www.fe.nagasaki-u.ac.jp/
https://researchmap.jp/nakayamah/