研究課題
若手研究
申請者は国内外の留学を経て次世代シークエンサー(NGS)の専門技術を習得し、これまで600名余りの様々な遺伝性腎疾患患者の網羅的遺伝子変異情報ならびに表現系情報を網羅したデータベース構築を経て、Gitelman症候群を含む塩喪失性腎症において共通の表現系を有する患者群の遺伝型を検討し、5家系に共通して新規のCaチャネル変異を、また他の独立した2家系ではオートファジーアダプター遺伝子に全く同一の超希少変異を同定し、これら2つの遺伝子は有望な候補責任遺伝子と考えられた。これらの変異意義検証を通じて新たな病態解明や、コモン病治療方策への展開を目指す。
Gitelman症候群(GS)などに代表される84名の成人塩喪失性腎症患者の網羅的遺伝子解析を行い、責任変異が同定されなかった約半数の患者を検証したところ、いくつかの臨床的特徴を有し、新たな疾患概念として提唱される可能性につき報告した(Mori T, HumMutat. 2021)。これを含め期間内に計18本の原著論文を発表した。また申請当初より着目していた二つの候補遺伝子(CACNA1HとSQSTM1)について実験検証を行なったが、現在までのところ有意な知見は得られておらず、さらなる検証が必要である。未解決例の全エクソン解析が完了し、さらに複数の有望候補についても引き続き検証を進める。
次世代シークエンシング技術(NGS)の登場により一度の解析で得られるゲノムデータ量は飛躍的に増加し、遺伝子検査は単なる個別疾患診断という枠組みを超え、大きな臨床的意義を持つようになった。今回Human Mutation誌に報告した塩喪失性疾患未解決群の臨床的特徴は、新しい疾患概念として再考される可能性があり、その病態解明は腎臓病学の発展に大きく寄与すると期待される。また塩喪失性腎症の新しい候補遺伝子探索は希少疾患の病態解明に止まらず、塩分摂取過多、飽食の時代における塩分感受性高血圧や臓器障害などのコモン病治療方策への展開としても、将来性を有すると期待される。
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すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 19件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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