研究課題/領域番号 |
20K00172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
保井 亜弓 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (30275086)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水 / 入浴 / 聖血 / ディアナ / アクタイオン / カリスト / スザンナ / バトシェバ / アクアイオン / 入浴図 / 湯治 / 近世ヨーロッパ / 裸体表現 / 浴場 / 図像学 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋美術における入浴は、古代ギリシャから現代まで取り上げられてきた普遍的なテーマである。水は身体のみならず、精神も清めるという点で浄化の象徴的な作用を持つ。それゆえ入浴は、きわめて日常的かつ私的な行為である一方で、儀式的な性格も持っている。 聖書や神話の伝統図像や世俗の伝承に基づく入浴表現には、覗き見など風俗としての入浴図とも共通する要素がある。また、実際の宮殿や城郭に設えられた洋室は、私的な空間でありながら、時に政治的な公的空間としても機能する 15-17世紀の西洋美術を中心に、その豊かなシンボリズムと表象を、背景となる伝承や入浴文化とともに読み解く。
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研究成果の概要 |
本研究では、水の持つ象徴的意義を考慮しつつ、日常的な行為から通過儀礼としての儀式的な入浴までを注目し、特に美術に表された入浴図を図像的に分析した。 まず、ヨーロッパの風呂の歴史を概観し、その上でキリスト教におけるキリストの血、聖血に注目して、聖血を浴びる表象の分析を行った。さらに美術の主題としてよく知られる、ギ古代神話の「ディアナ」の物語と、キリスト教の「スザンナの水浴」「バトシェバとダヴィデ」の物語を分析した。 成果としては、とくに物語主題は、近世のヨーロッパではほぼ表現が定型化するものの、いくつかのパターンに分類できること、また中世における表現の変遷が重要であることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、単なる図像分析ではなく、社会背景や当時のモラルに照らして考察を行ったことに意義がある。またきわめてプライヴェートな行為である入浴は、主に女性の表象が行われるが、そこに覗き見という他人、とくに男性の視線が存在しているということも重要である。また、女性を誘惑する者として悪とするミソジニー的な含意も、入浴主題に含まれることが判明した。
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