研究課題/領域番号 |
20K00535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
高橋 真彦 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (30709209)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 主格目的語 / 道具格主語 / スクランブリング / 格 / 移動 / 一致 / 反局所性 / かき混ぜ / 最小探査 / ラベル付け / 文法格 / 反局所生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、最小探査とラベル付けの下で、文法格の果たす役割と格付与のメカニズムを比較統語論的に検証することにある。まず、名詞句移動を再検証し、名詞句の分布に対する文法格の関与を考察する。次に、最小探査の下で目的語への格付与を分析し、格付与のメカニズムを検証する。最後に、上記の考察を基に、ラベル付け及び格付与のメカニズムを精緻化する。本研究は、文法格の役割と格付与のメカニズムの解明に貢献し、有意義な通言語的観察を提供する。これにより生成文法研究の発展及び人間言語の科学的理解に寄与する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、日本語の目的語作用域解釈の分析を継続し、その理論的・経験的帰結を検討した。特に、今年度は、分析から導かれる帰結の1つである、線形語順に影響を与えない目的語の移動について考察した。前年度までの研究では、主語が道具格を受ける場合、後続する主格目的語が可能接辞に対して広い作用域を取れないことを確認した。これは、道具格主語が動詞句内に留まるため、後続する主格目的語が、線型語順に影響を及ぼさないかたちで動詞句の外に移動することができないためである。主格目的語が動詞句内に留まるため、可能接辞よりも低い位置で作用域を取ることになる。今年度は、主格目的語が道具格主語に後続しながらも可能接辞よりも広い作用域をとる事例を複数考察した。より具体的には、道具格主語に後続する主格目的語の作用域が可能接辞に対して広くなる以下の場合を検討した:(1)道具格主語の直後にポーズが置かれる場合、(2)道具格主語に話題の助詞「は」が添加される場合、(3)道具格主語が上位の節に移動する場合。考察の結果、この状況下においては、道具格主語は、基底生成される動詞句内の位置から時制句よりも更に上位の位置に移動していることが明らかになった。そのため、主格目的語が道具格主語に後続しながらも時制句の領域に生起することが可能になり、可能接辞よりも広い作用域をとることが可能になる。この結果は、スクランブリングや名詞句移動は反局所性に従うという前年度までの主張を支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投稿していた論文が採択され、出版された。
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今後の研究の推進方策 |
分析の帰結を更に追求する。研究成果を学会や研究会で報告し、評価を受ける。
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