研究課題/領域番号 |
20K01913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 仁 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70363314)
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研究分担者 |
中川 功一 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (40510409)
松橋 俊彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター, マネージャー (60543923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 技術移転人材 / 企業家 / 心理資本 / ナレッジ・マネジメント / SECIモデル / 知識創造 / 心理的資本 / Psychological capital / 技術商業化 / 技術移転プロフェッショナル / 産学連携 / アントレプレナーシップ / 企業家志向 |
研究開始時の研究の概要 |
大学発の技術はインパクトの大きいイノベーションへと結びつく可能性がある。その商業化の過程で重要な役割を担うのが、大学の産学連携組織に所属する技術移転人材である。 今日では、自身が企業家的な精神と技能を発揮し、商業化に中心的な役割を果たすようになっているが、一方で、そうした企業家的技術移転人材を活かしうる組織的要件が未解明であることが課題である。 本研究は、「組織の企業家志向が人材の企業家的活動を促進し、大学発技術の商業化に積極的な効果をもたらす」という仮説を設定し、これを実証的に検証することで、企業家的技術移転人材を支え、能力を発揮させる産学連携組織のあり方を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
大学発技術の商業化では、企業家的な精神と技能を発揮する技術移転人材(Technology Transfer Professionals ; TTP)が重要な役割を担うが、そうした企業家的TTPを活かしうる組織的要件の解明は不十分であり、本研究はこれを実証的に明らかにするものである。 2020年度は、企業家的TTPの姿をより的確に把握するために、TTPの心理的資本と職務遂行能力との関係について調査・分析を行い、自己効力感と複雑な業務へ の挑戦意欲の関係性や、組織的なレジリエンスの高さがTTPに与える影響などを命題として抽出整理した。続く2021年度は、国内技術移転機関で長くトップクラスの業績を出し続ける東京大学TLOの組織マネジメントに着目し、個人の暗黙知を組織的な形式知へと変換させる知識創造活動が効果的な人材育成に寄与しうるとの仮説を立て、調査を行った。その結果、同組織ではメンターシップ制度や創発の場によって個別知識の共同化が進むとともに、定例会議で個別知識の形式知化が促進されていることが明らかとなり、これらナレッジマネジメントのプロセスをサイクルとして回しながら、人材育成に効果的に役立てていることを明らかにした。 以上を踏まえて2022年度は、TTPが業務経験を通じて心理的資本を構築することや、組織的な知識創造活動がTTPの人材育成に寄与しうることについて、東大TLOの事例を更に詳細に調査して分析を進め、組織としてのパフォーマンス向上に寄与する動機付けのメカニズムの解明を行った。 この研究成果は、ISPIM Innovation Conference(査読付学会、2023年6月5から7日、リュブリャナ、スロベニア)での発表にサブミットしアクセプトされたところである。また、バイオ・製薬分野の著名な業界紙である「バイオサイエンスとインダストリ(一財)バイオインダストリー協会」の招待論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によって、訪問インタビューが遠隔インタビューに切り替わったため、センシティブな内容について深堀って聞き取りを行うインタビュー調査が困難であった。加えて、発表を予定していた国際学会がコロナによって延期となり、発表のタイミングが遅れた。 また、東大TLOの事例を調査するなかで、他のTLOとの組織運営上の顕著な違いが明らかとなり、同組織のインタビュイーからも「うちのやり方を真似ても、同じ成果は得られないだろう」とのコメントもあったため、同組織のナレッジマネジメントのメカニズムをさらに深堀りして調査分析し、かつ、既往の複数の理論フレームを取り上げながら、調査結果の理論的裏付けを再考することに想定以上に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を、2023年6月にスロベニアで開催される国際学会(ISPIM Innovation Confecrence)においてResearch in Progressのカテゴリで発表し、他国の研究者と討議を行う予定である。この討議内容を踏まえつつ、東大TLOが高業績を上げ続ける理由としてTTPの内発的動機づけに焦点を当て、内発的動機を生み出す組織運営のあり方についてさらに研究を進める。
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