研究課題/領域番号 |
20K13442
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
石田 周 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (50823910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | MiFID / 株式市場 / 金融機関 / 内部化 / 証券取引所 / ストレンジ / 構造的パワー / 金融商品市場指令(MiFID) / 欧州連合(EU) / 民間アクター |
研究開始時の研究の概要 |
欧州連合(EU)の金融規制に関する先行研究は、欧州委員会や加盟国間の交渉が法令の形成に及ぼした影響を強調してきた。他方、民間金融機関などのアクターもまた、欧州委員会による法令の草案を作成する際に助言を行うなど、法令の形成過程に関与している。以上を踏まえ、本研究は、EUの代表的な証券規制である、金融商品市場指令(MiFID, 2004年制定)の形成過程を検討する。本研究の目的は、金融機関を中心とする民間アクターが、証券市場の変化とそれに伴う経営戦略の変化を経験する中で、MiFIDの形成に及ぼした影響を明らかにすることである。これにより、EUの金融規制の政治経済的な背景を重層的に描くことを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では,EUにおける株式市場規制,すなわち投資サービス指令(ISD)とそれを改正した金融商品市場指令(MiFID)を対象に,特に株式取引の内部化と取引前の透明性に関する規制の変遷をについて検討した。本研究は,(1)EUの株式市場での注文を巡って大手金融機関と証券取引所とが競争しあうようになったこと,(2)両者が株式市場規制,とりわけ「集中」と「透明性」を巡って異なる選好を持つようになったこと,そして,(3)公的アクターと構築した「共生関係」を通して,両者が構造的パワーを行使した結果,株式市場規制の転換が生じたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究は,従来のEU研究では,金融機関等の民間アクターが行使した影響力(パワー)が等閑視される傾向があった。これに対し,本研究の学術的独自性は,MiFIDの形成において,金融機関と証券取引所が行使した構造的パワーを明らかにした点である。このことにより,本研究は,ダークプールの形成・拡大というEUにおける金融の不安定化が,欧州委員会等の政治的アクターと金融機関等の民間アクターの「共同作業」の結果として引き起こされたことを浮き彫りにした。
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