研究課題/領域番号 |
20K13455
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
前林 紀孝 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (30735733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 財政再建 / 財政規律 / 公債の持続可能性 / 経済成長 / 経済厚生 / 世代間の公正性 / 財政健全化の最適スピード / 世代間厚生の公正性 / 財政再建ルール / 増税ベースVS支出削減ベース / 金融リテラシー / 世代間負担の公正性 / 経済厚生分析 |
研究開始時の研究の概要 |
老年世代と若年世代の間の世代間不公正の是正および経済厚生の改善という2つの観点から、財政再建を行う際にどのように進めるのが望ましいのかという問題に対し、 世代重複モデルを用いて以下の理論分析を行う。(Ⅰ)国債残高の対GDP比(以下、国債残高/GDP)のターゲットを設け、その水準まで財 政健全化することをコミットする財政規律を導入した際の経済の移行経路を分析する。(Ⅱ)異世代間の経済厚生に着目し、財政再建を推し進める最適なスピードを導出する。(Ⅲ)財政再建を行う方法として、支出削減と増税の2ケースの比較分析を行う。(Ⅳ)財政再建を行うことで財政の持続可能性が保障できる条件について明らかにする。
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研究成果の概要 |
財政再建のスピードとその方法(支出削減か増税か)に関して、財政の持続可能性、経済厚生、各世代の厚生の公正性の観点から理論分析を行った。まず、財政の持続可能性の観点からは税ベースよりも支出ベースの再建案の方が好ましいことが示された。経済厚生の観点からの再建案の選択は、国の経済の国債残高、生産性、税、公共財からの効用などの水準、さらに政策当局者が経済厚生を基準にするかそれとも世代間の公正性をより重要視するかの違いに大きく依存するが、共通して言えたことは、財政再建はできるだけ早いペースで行うべきであるということである。また、昨今の金融リテラシー向上を掲げる国々における財政運営の理論的示唆も提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の貢献は、既存研究では行われてこなかった異世代間の負担の公正性および経済厚生の改善という両観点から財政再建の具体的な方法(歳出削減か増税のどちらが望ましいのか)やそのスパン(どの程度の速さで財政再建を行うか)について精緻な理論的分析を解析的かつ定量的に行い、上記に示したようにある程度の理論的帰結を提示したことである。さらに、国債残高対GDP比の上位5か国のデータに基づいて、それぞれの国ごとに政策的なインプリケーションを示せたことにある。
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