研究課題
若手研究
本研究では腫瘍免疫関連タンパクの発現と放射線治療成績の相関を解明し、臨床応用に結びつけることを目的とする。具体的には、(A) 治療開始前の生検検体および術後摘出標本を用いた、腫瘍免疫関連タンパクの免疫組織染色による放射線治療効果予測、(B) 血中のPD-L1(Programmed death ligand-1)測定による腫瘍免疫応答の解析、(C)腫瘍免疫の制御に関わる血中マイクロRNAの同定を行い、癌細胞の腫瘍免疫関連タンパクを用いた放射線感受性予測法の臨床応用と個別化放射線治療の実用化を目指す。
根治的放射線治療を行った子宮頸癌症例において、治療前の血中におけるエクソソーム内のmiRNA・腫瘍に浸潤するCD8陽性およびFoxP3陽性T細胞・予後の関連について調査を行い、再発の有無で発現の差がある9種のmiRNAシグネチャを同定した。また、いくつかのmiRNAシグネチャの発現は腫瘍浸潤CD8陽性およびFoxP3陽性T細胞の発現数と逆相関を示し、腫瘍免疫抑制と化学放射線治療の効果抑制の関連の可能性が示唆された。この結果により、miRNAシグネチャを用いることで子宮頸がんの非侵襲的モニタリングと個別化治療を改善できる可能性があることが示された。
近年、腫瘍免疫機構が解明されつつあり、臨床においても免疫チェックポイント阻害薬が承認され効果が認められている。しかし、放射線治療と腫瘍免疫機構の関連については未解明の部分が多い。この研究では子宮頸癌における腫瘍免疫関連タンパクの発現や腫瘍免疫の制御に関わる血中マイクロRNAと放射線治療の成績について比較検討を行っている。その結果、いくつかのmiRNAシグネチャの発現は腫瘍免疫との関連を示すとともに化学放射線治療の効果にも影響を及ぼしている可能性が示された。これにより腫瘍免疫やmiRNAに基づいた個別化治療を行うことで、化学放射線治療の効果を高められる可能性がある。
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