研究課題/領域番号 |
20K17277
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今泉 貴広 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40867769)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 長時間透析療法 / MIA症候群 / CKD-MBD / 尿毒素 / 体組成分析 / メタボローム解析 / Calciprotein particle |
研究開始時の研究の概要 |
1回6~8時間の透析時間と自由食を特色とした「長時間透析療法」は、従来透析と比して高いQOLと良好な予後を示す。 低栄養の改善と動脈硬化進展抑制が寄与するという仮説に基づき、そのメカニズムを明らかにすることが本研究の目的である。 そのために、CKD-mineral bone disorder関連マーカーの関与と、既知・未知の尿毒素の網羅的検索をメタボローム解析にて実施する。さらに細胞実験を実施して上記仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
長時間透析による低栄養の克服、動脈硬化の進展抑制の実態を明らかにするため、体組成測定値の推移、網羅的代謝物の測定であるメタボローム解析、動脈硬化原因物質とされるCalciprotein particle (CPP)測定を実施した。長時間透析患者では筋肉量が良好に維持された。メタボローム解析では長時間透析患者でアミノ酸濃度が高値で、従来透析で尿毒素濃度が高値であった。また、長時間透析患者ではCPP濃度が低く、血清リン値に対するCPP濃度の上昇の程度も従来透析患者に比して緩やかであった。本研究により、透析時間を延伸することで栄養状態の改善、尿毒素の除去、動脈硬化促進因子が低下することがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々は過去に、長時間透析療法の予後改善効果が特に高齢透析患者により大きいことを示していた。そして今回、そのメカニズムの一旦を解明することができた。すなわち厳しい食事制限の緩和により食事摂取の増加がもたらすアミノ酸濃度の上昇と、透析時間延伸による尿毒素や動脈硬化促進物質の減少効果が示され、長時間透析に対する客観的なデータを示すことができた。ますます高齢化が進む透析医療にとり、合併症が少ない快適な透析療法を提供することで、従来透析法の継続が困難であった透析患者に有効な選択肢を提示し、患者の幸福度を高めることにつながるものと期待する。
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