研究課題/領域番号 |
20K19952
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 雄平 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (30845102)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 地表面温度 / ひまわり8号 / 陸域植生 / 環境ストレス / 植生リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯林は地球上の森林面積のおよそ半分を占め、その光合成活動は膨大な二酸化炭素を吸収することから「地球の肺」とも形容される。しかしながら、熱帯域においては、植生の光合成速度に密接に関わる温度の情報を広域かつ高頻度に観測する手段がないため、実際の二酸化炭素吸収量は把握できない現状にある。 本研究では、日本の新世代静止軌道衛星「ひまわり8号」のデータを用いて東南アジア・オセアニアの熱帯域における植生面温度を高頻度に推定し、日変化特性にまで踏み込んだ時空間形態を明らかにする。さらに、得られた知見を用いて植生呼吸量・光合成量推定モデルの精緻化を行う。
|
研究実績の概要 |
ひまわり8号植生面温度プロダクトの確立 昨年度までのひまわり8号の植生面温度データの構築・検証成果に加えて、植生面温度推定アルゴリズムの入力データ(ひまわり8号の輝度温度観測値や地表面放射率推定値など)の誤差が及ぼす不確実性を推定する手法を構築した。これらの成果は国際誌ISPRS Journal of Photogrammetry and Remote Sensingに掲載された。また、日本リモートセンシング学会 第73回(令和4年度秋季)学術講演会で成果発表を行った。構築した植生面温度データを、千葉大学環境リモートセンシング研究センターのFTPサーバーにて公開した(ftp://modis.cr.chiba-u.ac.jp/yyamamoto/AHILST/v0/)。
ひまわり8号植生面温度データを用いた植生の乾燥化の検出 2018年夏季に日本・朝鮮半島周辺で発生した猛暑事例を対象とし、植生面温度の日変化の波形が乾燥化に応じて変動するかどうかを、地上サイトや衛星の観測データを用いて調べた。その結果、土壌水分量や潜熱フラックスが示す乾燥化に対応して、日変化の振幅(日較差)が大きくなるという関係が得られた。この関係は、熱慣性の観点からも説明でき、ひまわり8号植生面温度データが乾燥化の検出に応用できることが示された。また、従来の植生の乾燥化検出に広く利用されていた植生指数との検出特性の違いを比べたところ、日較差の乾燥化検出能力は植生指数よりも高く、日本や朝鮮半島などの温暖湿潤気候下で起きがちな、植生が枯れるほどではないがストレスになる程度の乾燥化まで検出できる可能性が示された。この成果は国際誌Remote Sensing of Environmentに投稿し、掲載受理された。また、国際会議AOGS 2022で成果発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究内容自体は順調に遂行できているが、コロナ禍の影響で海外の他機関との議論が十分に行えていない現状である。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が明けつつあり、海外渡航も今年からしやすくなってきたので、特にアメリカと韓国・オーストラリアの研究者と密に議論を交わし、植生面温を用いた光合成量推定に関する研究を完成させる。成果は論文にまとめて国際誌に投稿する。
|