研究課題/領域番号 |
20K20516
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
小山 義徳 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90546988)
植阪 友理 東京大学, 高大接続研究開発センター, 准教授 (60610219)
深谷 達史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
田中 瑛津子 名古屋大学, 博士課程教育推進機構, 特任助教 (10754947)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | カリキュラム空間 / 思考能力の育成 / 自己調整学習 / カリキュラム・デザイン / カリキュラム・マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,教育カリキュラムの改善を通じて学習者の自己調整思考スキルを育成するための原則とガイドラインを開発することである。現在のカリキュラム編成方法は,学習者の思考スキル開発を促進するという21世紀における社会のニーズに対応していない。本研究では,「カリキュラム空間」(カリキュラムにおける認知的,自律的,省察的な思考のための「心的空間」)をカリキュラム編成に組み込む方法を検討する。さらに,深い認知処理,批判的思考,意味理解を実現する思考スキルを学習者が自律的に使うことを促進するため「カリキュラム空間」をどのように活用できるかについても調査する。
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研究実績の概要 |
本研究の2年目(2021年度)の目標は、カリキュラム空間にかかわる経験(もしくはその欠如)を測定することであり、そうした経験がどのように学生の思考能力に影響を及ぼすのかを考察することであった。海外の共同研究者を含む本研究チームのメンバーは何度もオンラインや対面での会議を重ね、本目標を達成するために様々な研究を議論・計画・準備・そして実行してきた。また、我々はそうした思考能力の発達における教師の役割を理解する研究も継続的におこなった。 本研究の成果は以下の通りである。
(1)日本・デンマーク・フランス・スペイン・オーストラリアの大学教員を対象に、大学・大学院教育において重要だと思われる学生の思考能力と、それを育成するための実践を問うアンケート調査をおこなった。(2)大学生のカリキュラム空間を測るための尺度を開発し、調査を行った。具体的には、主体的な学習活動に基づく授業が、いかに自律的な思考のための心的スペースを作り出しうるのかを分析した。(3)教員養成課程の学生自身の認知カウンセリングの経験が、彼らの小学校で理科の個別指導をするやり方に何らかの有益な影響を及ぼすのかどうかを分析した。(4)大学生が探究活動に従事し、授業時間外で自発的に学ぶことを奨励するために、教師側からできる効果的な介入について調査した。(5)研究をおこなっている大学院生とその担当教授にアンケート調査とインタビューをおこない、学生の自律的な研究活動を促進する、または阻害する要因について分析した。(6)思考能力の活用促進の道具として、図表の利用について調査した。対象として、大学の学部生のライティング課題と小学生の算数の教科書を用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンデミックの継続に伴い多少の微調整が必要とされた。例えばデータ収集についてはアンケート調査とオンラインの手法に頼らざるをえなかったが、概ね順調に進行させることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の3年目(2022年度)の主目標は、いかにカリキュラム空間が有効的にカリキュラムの中に織り込むことができるかということと、いかに適切かつ効果的に、学生が思考目的でそうした空間を活用するイニシアチブや能力を育成できるかを発見することである。可能な限りにおいて、この点は日本や海外の協力国(デンマーク・フランス・スペイン・ドイツ・オーストラリア)の教師・教員養成課程の 学生とカリキュラム開発・デザインをしていくことにつながる。また、すでに得られたデータ分析を継続し、結果を投稿・発信していく。一部の結果に基づいて、学生の自律的・省察的思考を促進したり、知識やスキルだけでなく、批判的思考態度の獲得に影響したりするような教室学習活動を特定することも試みる。さらに、学生がさまざまな思考方略(例:抽象化・論理構成・批判的評価)を応用することや、授業時間外での探究的学習への従事を促進しうる課題指示や課題要件に関しても調査する。そしてまた、カリキュラム空間や思考方略に関する認識や考え方、実践など様々な違いについても分析する。例えば異なる分野の学部生と大学院生や、小中高などの学校の段階、公立私立などの学校の種類間の差などである。
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