研究課題
基盤研究(B)
細胞内の分子クラウディング環境は,蛋白質の活性,立体構造やダイナミクスに影響を与える.生細胞中の生体高分子を原子分解能で直接観測するin-cell NMRを用いて,細胞内蛋白質動態の詳細な理解を目指す.本研究ではまずin-cell NMRの要素技術の高度化を行う.実証研究としては,モデル試料に加えてMAPK経路の蛋白質群を用いる.In-cell NMR解析で得られた立体構造,ダイナミクス,蛋白質間相互作用などを解析することで,細胞内分子クラウディング環境の普遍的な理解に挑戦する.
(1)細胞内蛋白質の立体構造・ダイナミクスの解析,(2) 細胞内マルチドメイン蛋白質のドメイン間相互作用の解析,(3) 細胞内蛋白質間相互作用の解析,について研究を行った.(1)については,「迅速で高感度な多次元NMR測定法」,「情報科学を駆使した自動NMRデータ解析と高精度自動立体構造解析法」,「細胞試料を長時間測定するためのマイクロ培養技術」などの要素技術の開発を行った.(2)については,常磁性NMR情報を用いることで,linear-polyUbなどの試料についてドメイン間相対配置の決定を行った.(3)については,Nrf2とKeap1の相互作用のヒト細胞内での解析などで成果が出た.
本研究の成果によって,これまで困難であった,「細胞内環境が,様々な生命現象に関与する蛋白質群の立体構造やダイナミクスに与える影響」の詳細な解析が,in-cell NMRの手法を用いて可能になりつつある.細胞内クラウディング環境は生体高分子が内在的に持つ生物活性上重要な性質を顕在化させている可能性があり,単離精製された状態に加えて,細胞内での蛋白質動態の研究が加速すれば,蛋白質の生物活性発現のより良い理解につながる.また,本研究の成果は,例えばヒト培養細胞内の原子分解能でのドラッグスクリーニングなど,医療や創薬への波及効果も大いに期待される.
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