研究課題
基盤研究(C)
本研究では、PGRMC1の制御機構の分子メカニズムとその生理作用について以下の手法を駆使して解明する。①PGRMC1と薬剤の結合様式の解析を行い、薬剤によるPGRMC1の構造的・分子的な機能制御について明らかとする。②PGRMC1を介した癌増殖作用について脂質代謝などの生化学的制御の解明を行い、候補化合物による効果の検証を行う。③細胞の分化や脂質蓄積におけるPGRMC1の機能の解析と標的化合物の作用の検証を行う。以上の解析により、PGRMC1の構造情報を基盤とした包括的な解析により、PGRMC1の機能的な制御の重要性について実証し、これを標的とする薬剤の機能を検証する。
独自のアフィニティ精製技術を駆使して、膜結合性のヘムタンパク質PGRMC1を同定し、X線結晶構造解析によるヘム結合型PGRCM1の分子構造の解明に成功している。PGRMC1はヘム分子同士が会合する特異なheme-stacking構造を形成したPGRMC1はEGFRなどと相互作用して活性化し、癌細胞の増殖を促進することを見出している。PGRMC1は新たな創薬標的となる事が期待されるが、癌以外の生理機能についてはほとんど明らかとなっていない。本研究ではPGRMC1を標的とした創薬シーズ化合物の検証と、動物モデルを用いたPGRMC1の未知の生理機能の解明を目的とする。
本研究は、ヘムの細胞内標的分子の網羅的同定というケミカルバイオロジー的な解析を出発点として、分子生物学、構造生物学、細胞生物学、生理学など様々な研究手法を融合させた極めて学際性の高い独創的な研究であるといえる。これらの解析により、未知であったPGRMC1の癌や肝炎などの炎症に対する作用の解明が期待できる。さらにPGRMC1に結合する薬剤も見出しており、この結合様式や制御機構を解明することにより、PGRMC1が関わる疾患に対する予防法や創薬開発の基盤となると考えられ、社会的な意義も非常に大きく成果の発展が期待される。
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