研究課題/領域番号 |
21K07995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 特任研究員 (60550952)
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研究分担者 |
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 特任研究員 (80228741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | マイトファジー / FTMT / ミトコンドリア / ミトコンドリアフェリチン / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
肝細胞癌は成因別に特化した遺伝子変異の蓄積もないことが明らかにされ、従来とは異なる観点からの治療開発が必要である。活性酸素種(ROS)は肝発癌に関与するが、ROSの産生機構として、ミトコンドリア修復機構の障害が重要であること報告してきた。これらの報告の中で我々はミトコンドリアフェリチン(FTMT)がミトコンドリアの修復機構であるmitophagyのkey moleculeであることを同定し、発癌抑制にFTMTが関与することも明らかにした。本研究ではFTMTの関与する発癌抑制の分子機構を解明し、FTMTを介した新たな肝細胞癌治療を開発する。
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研究実績の概要 |
ミトコンドリアフェリチン(FTMT)は以前からその存在は知られていたが、その発現機構及び機能についてはほとんど知られていない。本研究はFTMTの発現による肝発癌抑制のメカニズムの解析と肝癌及びNASHのバイオマーカーとしての役割検証することを目指しており、今までにないユニークな肝発癌・進展抑制戦略である。 ミトコンドリア品質管理におけるFTMTの発現によるマイトファジーの誘導は細胞の恒常性に極めて重要な分子機構であり、既にわれわれはマイトファジーの誘導と病態との関係が明らかにしてきた(EMBO reports 2021)。しかし、肝発癌過程でのFTMTの発現の意義については未だ不明である。本研究ではFTMTが肝発癌組織では発現が減弱していることが明らかにした。 このことはFTMTが発癌抑制遺伝子として機能している可能性を示唆する。またFTMTの発現を促す薬剤は鉄キレート剤のみしか明らかになっていないが、鉄キレート剤はその副作用として、貧血を引き起こすことが予想される。この研究により、FTMT の発現を促す薬剤が明らかになってきており、安全で発癌抑制を期待できる薬剤が開発でき可能性があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイトファジーを誘導する際の重要な因子としてミトコンドリアフェリチン(FTMT)が重要であることを明らかにしてきたが、その誘導機構については今まで明らかではなかったが、転写因子であるSP1によって制御されることを明らかにすることができた。FTMTの発現が、NASHのMatteoni分類だけでなく、Bruntの分類とも関連がある可能性が示唆されたためバイオマーカとしての重要性を示すべく、ヒトの組織症例を多く集め検討している。
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今後の研究の推進方策 |
鉄キレート 以外のFTMT誘導薬剤が完全には同定できていないため、引き続き培養細胞を用いて化合スクリーニングにより、FTMT誘導 を同定する。その中から細胞毒性のない薬剤をを選択する。「ケミカルバイオロジー」の手法でFTMTの発現パターンによる遺伝子を網羅的にプロファイルしており、数種類の薬剤を同定できている。
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