研究課題/領域番号 |
21K10300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 (2022) 富山大学 (2021) |
研究代表者 |
八木 邦公 金沢医科大学, 医学部, 教授 (30293343)
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研究分担者 |
敷田 幹文 高知工科大学, 情報学群, 教授 (80272996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心不全パンデミック / 電子聴診器 / クラウド / 機械学習 / 生活習慣病 / 心不全 / 指導システム |
研究開始時の研究の概要 |
心不全パンデミックに対して生活習慣病の診療の変革を目的とした電子聴診器および指導や評価を支えるクラウド環境を開発し、それによる心臓聴診指導方策の有効性を医学生の聴診能力向上を指標に検証し、実臨床での有効性を生活習慣の専門医・かかりつけ医で心不全の発症・進展予防を指標に検証する。将来的には今回の方策により我が国の健康寿命の延伸、通院率や医療費の削減に貢献できることを目指す。ICTおよびクラウド技術の進歩で聴診のハードルを下げ、我が国の医療の近未来最大の問題である心不全パンデミックに対抗しようとする本研究は独自性が高い。また遠隔指導を通して診療の変容を目指す本研究は創造性も高い。
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研究実績の概要 |
循環器の非専門医でも活用可能な電子聴診器の開発をONKYOと共同で継続している。1)聴診器本体についてはプロトタイプ3世代機で2つの集音器を装着し、2箇所で同時に心音の情報を得ることで、それぞれの音の高低、音の発する間隔、部位による強弱を総合的に判断することで、Ⅰ音Ⅱ音を認識できるようにしている。このⅠ音Ⅱ音の同定及び収縮期拡張期の認識既往に加え、機器の形状、伝送システムについて3件の特許を申請している。うち1件については北米及び中国での国際申請も行っている。2)機械の解析アルゴリズムに関しては、非専門医が聴き逃してしまうであろうⅢ音Ⅳ音について低音域の感度を高め、上記のⅠ音Ⅱ音の同定と組み合わせることで検出可能との目処は立っており、心音シミュレータを対象とした検討においては、比較的良好な結果が得られ、Ⅲ音Ⅳ音および典型的な弁膜症については診断能が高いことを確認することが出来ている。ただし下記に示すようにノイズキャンセリングの問題が大きい。今後の臨床応用を行う上では、低音域の感度向上以上に大きな課題と考えられ、検討を重ねている。3)クラウド環境の構築については高知工科大学との共同研究で、指導医I名、診察医1名、補助1名の学内環境であれば十分なセキュリティーレベルを保ちつつ心音データを評価可能なシステムの構築の目処は立っている。今後は聴診者や患者さんの装着したスマートデバイスとの情報のやり取りも視野にクラウド構築を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ONKYOとの共同開発の電子聴診器の開発が遅れている。III音IV音の判別能を目的として改良を行い、2箇所からの同時進行での聴診情報取得を行うことで、収縮期―拡張期の判別の正確性を高め、また低音領域の感度を高めることはできてきている。一方で数例の実臨床の症例での検討において、皮膚接触時およびインチング操作で移動させる場合のノイズや、着衣に接した際のノイズが大きな問題となっている。低音域の感度を高めることで、これらのノイズが日常診療で考えると耐え難い音量および音質となっている。ノイズキャンセリングを加えてはいるが、どうしてもノイズ発生からのタイムラグ及びノイズの種類によっての音質の差があり、完全にはカバーできておらず、日常診療に用いるには満足できるものではないため、鋭意ノイズキャンセリングアルゴリズムの改良を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の検討を更に進める。電子聴診器の開発については、上記に示したようにノイズキャンセリング機能の向上を第一の課題として検討を継続する。クラウド環境の構築については、 セキュリティーレベルを維持しつつ聴診者や患者さんの装着したスマートデバイスからの情報を電子聴診器及び聴診者に提供することが可能となるような拡張も行う。さらにクラウドに蓄積された音声データを機械学習のデータを元に、Ⅰ音Ⅱ音を判別し、その音の順序や性質からⅢ音Ⅳ音を示せる環境の構築を目指している。今後実臨床の症例での検討を行う。
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