研究課題/領域番号 |
21K13851
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 直木 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (60872893)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Magnetohydrodynamics / Grad conjecture / Stellarator / Quasisymmetry / Hasegawa-Mima equation / Drift wave turbulence / Vorticity / Pair plasmas / Hamiltonian Mechanics / Nambu Mechanics / Statistical Mechanics / Self-Organization / Topological Constraint / 理想電磁流体 / 楕円双曲型偏微分方程式 / 対称性 / ステラレータ / 核融合 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代核融合炉の設計においては炉形の選択が一つの重要な要素であり、適切な炉形を選択するためにはまず、理論上実現可能な炉形を正しく理解する必要がある。炉形の実現可否は炉内プラズマ支配方程式の平衡解の存在有無により決定されるが、この方程式は楕円双曲型であり対称性を持たない系での解析方法が確立しておらず平衡解の存在は知られていない。そこで、本研究ではa)幾何学的手法による、炉内プラズマ支配方程式の対称性を持たない解析解の構築、b)実現可能な炉形条件の導出を行っていく。これにより、楕円双曲型方程式の解析方法の解明、次世代核融合炉の炉形の提案が可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ユークリッド空間の連続対称性を持たない有界領域における、理想電磁流体方程式の平衡解の存在条件を明らかにすることである。本課題に対して、2022年度では下記研究成果を上げた: 1.次世代核融合炉の設計において炉形の実現可否は炉内プラズマ支配方程式(理想電磁流体方程式)の平衡解の存在有無により決まる。しかし、優れた閉じ込め能力を持つとされている対称性を持たない炉形の支配方程式は、楕円双曲型であるため、平衡解の存在は未だ知られていない。本年度では、非等方圧力理想電磁流体平衡方程式において、準対称性を持つ磁場の存在を証明し(N. Sato, Scientific Reports 12, 11322, 2022)、ユークリッド空間の連続対称性を持たない磁場の存在を証明した(N. Sato and M. Yamada, arXiv:2211.10757)。またこれらの結果を三つの招待講演にて報告した。 2. 理論プラズマ物理及び核融合科学では、電磁場乱流及び速度場乱流の理解と制御は重要課題となっている。本年度では、静電ポテンシャル乱流を記述する長谷川三間方程式を任意の磁場形状に一般化する方程式を開発した(N. Sato and M. Yamada, Journal of Plasma Physics 88, 3, 2022)。また、任意の幾何学を持つ局面上の渦度方程式を導出した(N. Sato and M. Yamada, Journal of Mathematical Physics 63, 093101, 2022)。 3. 磁場中にプラズマが生成する構造について、無衝突電子陽電子プラズマの統計平衡を導出した(N. Sato, Physics of Plasmas 30, 042503, 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度における本研究課題の主要研究目的は非対称領域における準対称磁場及び非対称磁場の存在条件をクレブシュパラメーターに対する幾何学的条件として導出し、数学的に許される炉形を明らかにすることである。雑誌論文 N. Sato, Scientific Reports 12, 11322, 2022 及びプレプリント N. Sato and M. Yamada, arXiv:2211.10757 で報告しているように、圧力非等方性を持つ理想電磁流体に対して本目的は達成している。また、磁場中の静電ポテンシャル乱流(N. Sato and M. Yamada, Journal of Plasma Physics 88, 3, 2022)と速度場乱流(N. Sato and M. Yamada, Journal of Mathematical Physics 63, 093101, 2022)及び電子陽電子プラズマの自己組織化構造を表す平衡統計分布(N. Sato, Physics of Plasmas 30, 042503, 2023)について研究成果を上げている。これらの研究成果を踏まえて、当初の研究計画以上に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の主要研究目的は、2022年度で得られた理想電磁流体方程式の非対称平衡解の存在条件を一般の楕円双曲型方程式へ拡張すること、非対称磁場による束縛を受けたプラズマの統計理論を構築することである。本目的の達成に向けて、現在取り組んでいる研究課題は下記の通りである: 1.非対称磁場の存在に対してこれまで開発した理論は非等方圧力を必要とするため、現在本理論の等方圧力理想電磁流体平衡方程式への拡張を試みてる。また、次世代核融合炉の設計をテーマにオーストラリア国立大学の R. L. Dewar 教授・Simons collaborationとの共同研究を進めている。 2.非対称磁場による束縛を受けたプラズマの統計理論について、荷電粒子の運動方程式の非正準ハミルトン構造を活用し、非正準な位相空間における衝突作用素の開発を進めている。 3.磁場中の静電ポテンシャル乱流の時間発展を表す一般化長谷川三間方程式(N. Sato and M. Yamada, Journal of Plasma Physics 88, 3, 2022)のハミルトン構造及び非線形安定性の条件を明らかにするため研究を進めている。
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