研究課題/領域番号 |
21K19949
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大久保 範子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80620252)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 相撲絵 / 庶民信仰 / 江戸時代 / 浮世絵 / 手形 / 伊勢参宮双六 / 七福神 / おかげ参り / 信仰 / 庶民文化 / 力士 / 相撲 / 錦絵 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では日々の暮らしや行事の中に神仏信仰との結びつきがみられ、江戸時代には浮世絵にもその一端を示す例が描かれている。なかでも相撲は江戸の人々を熱狂させた娯楽のひとつであるが、土俵入りや取組前後の所作には神道の儀式的な要素が残され、力士の錦絵や手形は魔除けや福を呼ぶ縁起物としてもてはやされたことから、現代でいう”娯楽としてのスポーツ”にとどまらない信仰の対象としての役割が潜んでいたことがうかがえる。本研究は、相撲や力士が庶民信仰の面で果たした役割を、浮世絵に描かれた表象の面から読み解くことで、「日本人と相撲」という現代にもつながるテーマに美術の面からアプローチするものである。
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研究成果の概要 |
日本には様々な風習や伝承が存在するが、その起源や由来については明確な資料が確認されないまま漠然と受け入れられている例が多い。本研究は、そのような明文化されないものの庶民間で広く共有された信仰の実態について、浮世絵を中心とした視覚資料を手がかりに検証することを目的とした。力士の手形が縁起物として扱われるようになった過程、伊勢参りに基づく双六に道中の臨場感を高める場面描写や、移動の距離感を反映する工夫がみられる点、七福神の寿老人と福禄寿における混同と明確化といった江戸期に展開した庶民信仰の一端を、絵画資料を通じ具体的に示すことができた点が本研究課題の主な成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本には、招福や魔除けをはじめとし、現世をより良く生きるための様々な信仰が伝えられる。そのような信仰の形は、日本文化を語る上で重要な要素でありながら未だ明らかでない部分は多く、研究の必要性がある。本課題で取り組んだ力士の手形に関する調査及び研究は、当初の記録を目的としたものが次第に呪術的な色彩を帯び、信仰の対象へと転じていく過程が、現存する手形、浮世絵、文献を組み合わせることでより明確化された。本研究を通じ、視覚資料から現象を読み解く美術史的なアプローチを、従来文献を中心に行われてきた研究分野と組み合わせることでより発展させる可能性を改めて示すことができたと考える。
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