研究課題/領域番号 |
21K21068
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川端 由子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40906830)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 味覚 / 骨粗鬆症 / カルシウム / OVX / カルシウム代謝 / 味細胞 / 大規模住民健診 |
研究開始時の研究の概要 |
骨粗鬆症の発症には、加齢や女性ホルモンの減少に加え、食習慣や栄養バランスの乱れが関与しているが、骨粗鬆症と我々の食行動を司る味覚の関連性は未だ不明な点が多い。味覚は、単においしい、まずいという感情を引き起こすだけでなく、摂食行動の調節や栄養摂取センサーとしての機能ももつことから、骨粗鬆症における味覚の変化が栄養摂取状態を悪化させ、さらなる骨脆弱性を招く可能性がある。本研究では、大規模住民健診における骨代謝と味覚検査データを用いた疫学的な検証から、骨粗鬆症モデル動物の味覚機能に関連する行動や細胞レベルまでの包括的な解析を行う。これにより、骨粗鬆症と味覚異常の関連性とその分子機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
閉経後の女性は、女性ホルモンの欠乏により骨密度が低下する一方、味覚嗜好性にも変化を生じることが報告されている。味覚は、生理的な栄養・ミネラル需要を反映した摂食行動の調節に重要な役割を果たしており、閉経後の骨カルシウム代謝の異常が末梢の味覚器におけるミネラルやイオンセンシングの変調をきたすことが予想される。本研究では、閉経後骨粗鬆症 (卵巣摘出(OVX)による骨量減少)モデルマウスを用いて、味覚嗜好性および味蕾の遺伝子発現変化を解析した。OVXマウスは味覚器におけるカルシウムおよび骨代謝関連遺伝子の発現が上昇すること、またカルシウム味に対する細胞応答が亢進し、忌避性が増強する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、閉経後骨粗鬆症と味覚異常の関連性、ならびにその分子機構の一端を明らかにした点に学術的意義がある。さらに、骨粗鬆症化によるカルシウム味に対する嗜好性低下は、カルシウム摂取を減少させる一因となり、栄養状態を悪化させ、さらなる骨脆弱性や、肥満、糖尿病、脂質代謝異常症などの生活習慣病を招く可能性がある。閉経後骨粗鬆症における味覚変化やその分子基盤の理解への寄与において、本成果は骨粗鬆症の早期発見や予防の方策提言に向けて社会的にも意義がある。
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