研究分担者 |
篠崎 信也 九州工業大学, 生命体工学研究科, 教授 (00136524)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
藤田 剛史 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90432971)
詫間 康子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 技術職員 (60160074)
|
研究概要 |
生体内で荷重が負荷される部位に使用される人工関節などの生体骨代替材料には,高い機械的強さと優れた耐食性が要求されるとともに,弾性的性質が生体骨にできるだけ近似していることが重要とされている。本研究では,これまでの筆者らの研究で明らかとなった純チタンより低い弾性率を示すTi-60 at.%Zr合金およびTi-70 at.%Zr合金について,その耐食性の向上を図るため,第3元素として1 at.%のPdまたはPtを添加したTi-Zr-Pd系およびTi-Zr-Pt系合金を作製した。これらの合金のas-cast状態における密度,ヤング率,剛性率,ビッカース硬さなどの物性に及ぼす添加元素の影響を調べるとともに,X線回折実験により結晶構造を解析した。その結果,Ti-Zr系2元合金に対する1 at.%のPdまたはPt添加は,ヤング率や剛性率などの弾性率と硬さを著しく増加させることが分かった。これらの第3元素添加による機械的性質の強化には,低温安定相のα相に加えて,準安定相のω相の生成が関与することが明らかとなった。したがって,Ti-Zr合金に対する少量のPdまたはPtの添加は,耐食性や硬さ値の増加の点では有利であるが,弾性的性質の適合性の点において生体骨代替用材料としては適していないと思われる。
|