研究課題/領域番号 |
22K12756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
金野 武司 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (50537058)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 語用論 / 解釈学的循環 / 実験記号論 / 構成的アプローチ / 情報論 / 脳波 / EEG |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,人間のことばによるコミュニケーションの基盤にあると考えられる字義通りの意味(意味論)と言外の意味(語用論)の解釈的な循環過程を計算モデルにより表現し,人間とその計算モデルでの記号的なコミュニケーション実験を実施する.そこで計測される脳活動(脳波)の情報量的複雑度と,計算モデルの尤度から推定する解釈的循環の計算量との関係分析から,解釈的循環の計算プロセスに対応する脳活動の有無を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
初年度の計画に予定していた解釈学的循環を含む計算モデルの確立について,課題の1つ目に挙げた「記号衝突」を解決するための計算アルゴリズムの構築に注力した.まずはそのアルゴリズム構築の必要性を整理した研究成果を,国際会議(JCoLE2022)にて発表した.また,この発表とほぼ同時期には,アルゴリズムの具体的な中身として「記号衝突」を解消することのできるメカニズムの機能性を計算機シミュレーションと人と計算機の認知実験で検証した研究の成果を国内会議(日本認知科学会39回大会)にて報告した.この研究で実現された課題パフォーマンスは,人間どうしで行なわれるそれに比べて若干低くなる傾向が見られたため,その原因を特定する必要があることが判明している. 共同研究者である森田氏(静岡大学)が精力的に進めてきた,記号コミュニケーションシステムの形成過程に果たす自閉傾向の役割についての論文が認知科学誌にて発表された.この論文には共著者として参画した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定した計算アルゴリズムの確立については,問題となっていた記号衝突時の対処方法について,人との間で有効に機能するメカニズムを構成することができた.また,より人間がやっていることに近いと思われる2つのメカニズムを考案し,1つは人間との認知実験によりパフォーマンスを確認するところまで進展させることができた.脳計測については,OpenBCI社の脳波計のフレームおよび電極構造を改良すると共に,アクティブ電極を用いることによる精度向上を図った.ただし,こちらに関しては導電性ジェルを使わない乾式脳波計ということもあり,頭皮との接着に不十分な点があることがわかっている.それらの検証内容について,まだ対外的な発表は行なえていないが,計測データは着実に蓄積されている.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の第一の課題として挙げた「記号衝突」問題について,あと1つ考案したメカニズムの人間との認知実験による検証フェーズが残っているため,これを実施する.2つ目の課題としていた「学習サイクル」については,続く3つ目の課題「尤度に基づく計算量の推定」に必ずしも必要とされるものではないことが見えてきたので,先行的に3つ目の課題に取り組むことを予定する.計算モデルが人間の行動データをどの程度説明できるのかを確認・検証すると共に,都度実行されているプログラムコードから計算量を推定できるようにする.これにより,課題遂行時の推定計算量がどのように推移しているのかを確認する.この推定計算量との対応関係を探索することになる脳活動については,頭皮との接地面の問題を解決するための方策を検討し,脳波計の改良を実施する.
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