研究分担者 |
西田 輝夫 近畿大学, 医学部, 講師 (80036475)
永田 和宏 京都大学, 結核胸部疾患研究所, 教授 (50127114)
瀬野 信子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (40017182)
鈴木 旺 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022504)
梅澤 一夫 微生物化学研究所, 副所長 (70114402)
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研究概要 |
フィブロネクチンを中心に, 細胞接着性糖タンパク質の生理化学的研究を基礎と臨床の面から総合的に研究した. 研究成果の概要を以下にまとめる. 1.フィブロネクチンの細胞接着機能部位の大きさを, X線照射による不活性化の程度から, 90kDaと推定した. 2.ヒト胎盤に組織独自のフィブロネクチンが合成・保持されていることから, 胎盤組織形成へのフィブロネクチンの関与を明らかにした. 3.フィブロネクチンとがん遺伝子機能との関係では, がん遺伝子機能抑制物質がフィブロネクチンのmRNAやタンパク質合成量を増加させることが明らかになった. 4.血中フィブロネクチンを栄養の面から検討し, 生体の栄養状態により, 血中フィブロネクチン量が変化することが明らかになった. 5.慢性関節リウマチにおいては, リウマチ軟骨面に沈着したフィブロネクチンがパンヌス形成に重要であることが明らかになった. 6.間充識系の組織形成においては, フィブロネクチンとプロテオグリカンが, それぞれに特異的なレセプターとの相互作用によって, 細胞の基質への接着や伸展を調整していることが明らかになった. 7.角膜上皮細胞の創傷治癒過程において, 上皮細胞は, 最初フィブロネクチン受容体を発現しておらず, 修復過程中に受容体を発現してくることを明らかにした. また, 以上の研究成果を基礎に, 日本のこの分野の研究活性化を一層推進するために, 昭和62年12月に, 公開シンポジウムを東京で開催した. 約200名の一般参加があり, 「フィブロネクチン」研究の現状について, 広範な情報交換と討論を行なった.
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