物質科学の相対論的基礎方程式はディラック方程式であり、これを正確に解く理論体系と、それを有用に展開する計算手法の確立が重要である。本研究では、シュレーディンガー方程式の正確な解法として提案された自由完員関数法に基づき、ディラック方程式を正確かつ数値的に安定に解く方法として、逆ハミルトニアン法、複素座標変換法を融合する計算手法を発展させた。また、多電子系のディラック方程式の計算への応用のため、まずは一般分子のシュレーディンガー方程式の正確な解の計算を進め、今後一般分子の相対論計算に応用するための計算方法とそのノウハウを蓄積した。
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