本研究では、実践共同体(communities of practice)が組織内外で学習をどのように促進するかについて、介護施設の事例を中心に明らかにしてきた。実践共同体は組織内外に構築する「学びのためのコミュニティ」ということができる。読み書き計算によって認知機能の維持・向上を図る「学習療法」を導入している介護施設の調査の結果、業務に忙殺される中で学習療法の導入に成功している施設は、組織内外に実践共同体を構築し、学習療法の理解促進を行っていることが明らかになった。同時にそれらを重層的に構築する構造を目指すことで、その相互作用と学習はさらに促進されることがわかった。
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