ウイルス感染による腫瘍化について、これまでウイルス・タンパク質が腫瘍化要因として詳細な研究が行われてきた。例えばSV40のlarge T抗原やパピローマウイルスのE6, E7はがん抑制に働くP53やpRbへの結合を介して細胞を腫瘍化するとされている。本研究ではウイルス感染による腫瘍化にはマイクロRNAも関与すること、さらに細胞がもつマイクロRNAと結合することで細胞内の標的タンパク質発現量に影響を与えることを示したことに学術的な意義がある。本研究に基づきウイルスが誘導する癌に対し、将来的にウイルスマイクロRNAのアンチセンスRNAを用いた治療につながれば社会的意義にもなりうる。
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